2013 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスタンパク質ヘムオキシゲナーゼの熱ショック転写因子による発現制御
Project/Area Number |
23570216
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
井上 幸江 安田女子大学, 薬学部, 教授 (60159978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 玲子 安田女子大学, 薬学部, 教授 (50150967)
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Keywords | 熱ショック因子 / ストレス応答 / ヘムオキシゲナーゼ / 発現制御 / 生体防御 / 小Maf転写因子 |
Research Abstract |
「目的と方法」ヘム分解の律速酵素であるヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)は、酸化ストレスに対する生体防御因子の1つとして知られている。HO-1遺伝子の発現は、-4kb上流のMARE配列に小Maf/Bach1が結合することにより転写が抑制されているが、ヘム添加により小Maf/Nrf2へ置き換わることにより活性化される。一方、HO-1遺伝子の上流-400bpには典型的な熱ショック応答配列が存在するが、温熱刺激による発現誘導は、種や細胞によって異なり、熱ショック因子HSF1による転写制御についての詳細は不明である。本研究では、HO-1遺伝子の発現調節における熱ショック応答の関与を明らかにすることを目的として、野生型とHSF1欠損マウス繊維芽細胞(MEF)を用い、温熱刺激やヘム添加、カドミウム(Cd)添加によるHO-1の発現変化をウエスタンブロット法、リアルタイムPCR法で検討した。 「結果と考察」1)温熱刺激では、HO-1の発現誘導は見られなかった。2)通常の生育条件では、HSF1はヘムやカドミウム(Cd)添加によるHO-1の誘導を抑制することが示唆された。3)温熱刺激を負荷すると、HSF1はヘムやCd添加によるHO-1の誘導を活性化した。4)温熱刺激によりMafKとMafFの発現が亢進することがマイクロアレイ解析で見つかり、リアルタイムPCR法で確認できた。5)これらの小MafとHSP70が結合することが免疫沈降法で確認できた。これらの結果はMafKやMafF のホモ二量体がHO-1の発現を抑制していることを示唆する。6)野生型と比較してHSF1欠損細胞では、ヘム添加によるHO-1の高発現状態や、温熱刺激後にヘムを添加した場合のHO-1の低発現状態では、さらに過酸化水素や二価鉄などの酸化ストレスを負荷すると細胞生存率が低下していた。以上の結果から、HSF1は様々なストレス負荷時において、適正なHO-1の発現を維持することによって生体防御に寄与していることが示唆された。
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