2011 Fiscal Year Research-status Report
植物細胞に特有の液胞の形成・拡大とそれらに伴うオートファジーの解析
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23570222
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
森安 裕二 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20200454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 康子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30194921)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オートファジー / 液胞形成 / 液胞拡大 / 細胞成長 / ミニプロトプラスト / 根伸長 |
Research Abstract |
1. 研究計画「様々なオルガネラマーカーを導入したタバコ培養細胞作製する」に対して。オートファゴソーム、液胞膜、ミトコンドリアをGFPで標識した細胞の調製を完了した。2. 研究計画「シロイヌナズナ野生株・オートファジー欠損株の根の断片を培養して液胞形成・拡大や根の成長を測定・比較する」に対して。シロイヌナズナの根断片(先端から5 mm)を調製し、3日間培養して、根断片の伸長と細胞の大きさを測定した。1日間の培養で野生株の根は2.9±0.8 mm (n=15)伸びたのに対し、ATG5破壊株では野生株の約70%にまで成長が低下していた。根の先端から一定距離の細胞の大きさを測定すると、ATG5破壊株は野生株に比べ細胞が小さかった。以上の結果はオートファジーが根の細胞伸長に寄与することを示している。オートファジーを阻害する効果を持つ薬剤である3-メチルアデニンとE-64dは、野生株において培養の最初の0-1日間で間の根の伸長をatg5-1と同程度にまで抑えた。このことは、2つの薬剤が短時間の処理ではシロイヌナズナ根においてオートファジー阻害剤として働くことを示唆しているする。しかしどちらの薬剤も2日目以降の根の伸長を大きく抑え、さらにatg5-1に対しても伸長抑制効果をみせた。よって2つの薬剤が、長時間処理のする際にはオートファジー阻害以外の効果を持つことが示された。3. 研究計画「タバコ培養細胞を用いて、液胞拡大のモデル実験系を確立する」に対して。タバコ培養細胞を植物ホルモン2,4-Dを欠いた培地に移すと、細胞が成長し、培地にマクロオートファジー阻害剤3-メチルアデニンを加えると成長が阻害されることを確認した。しかし、細胞の大きさの偏差は大きかった。同調培養を行い、2,4-D飢餓処理する細胞のステージをそろえると細胞の大きさの偏差が少しだけ小さくなることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. ミニプロトプラストを用いた液胞形成とオートファジーの解析に関しては、出発材料として様々なオルガネラマーカーを導入したタバコ細胞の調製を行う予定であったが、予定していたすべてのオルガネラマーカー導入細胞を調製できなかった。その意味でやや遅れていると自己評価した。2. シロイヌナズナ根断片を用いた液胞形成・拡大とオートファジーの解析に関しては、当著の計画通りに進んだ。3. タバコ培養細胞で液胞拡大モデルを作製し、そのモデルを用いた液胞拡大とオートファジーを解析する計画に関しては、当初の計画通り行ったがモデルを洗練させることができなかった。そこで、当初計画通りに進まない時の対応として考えていた同調培養系を導入してみたが、大きな進歩はなかった。その意味で、やや遅れていると自己評価した。以上、おしなべて、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 様々な(オートファゴソーム、ER、液胞、ゴルジ装置、ペルオキシゾーム、ミトコンドリア、プラスチド、細胞質基質) のオルガネラマーカーと GFPとの融合タンパク質を恒常的に発現しているタバコ培養細胞 の作製を行う。これらの細胞よりミニプロトプラストを調製し、蛍光顕微鏡で液胞形成の過程を観察し、液胞形成に関与するオルガネラを明らかにする。2. シロイヌナズナ根における液胞形成・拡大過程を電子顕微鏡で詳しく観察する。液胞形成が起こって部位と液胞拡大が起こっている部位を区別して電子顕微鏡で解析する。シロイヌナズナ根を用いたこれまでの解析で明らかになってきた、エンドサイトーシスマーカーであるFM4-64が液胞内に運ばれる構造をさらに観察する。3.タバコ培養細胞で 確立した液胞拡大モデル実験系を用いて、液胞拡大・細胞成長に対する3-MAの効果を調べる。 3-MAが栄養飢餓以外の条件でも液胞の拡大化を阻害するかどうかを調べる。さらに、オルガネラを可視化できるように細工したタバコ細胞を観察して、液胞の拡大過程におけるオルガネラの動態を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以上の実験を進めるにあたって、薬品(分子生物学に使うキットも含む)が必要であり、結果発表のための学会への旅費が必要である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Autophagy in tobacco BY-2 cells cultured under sucrose starvation conditions: Isolation of the autolysosome and its characterization.2011
Author(s)
Takatsuka, C., Inoue, Y., Higuchi, T., Hillmer, S, Robinson, D. G. and *Moriyasu, Y.
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 52
Pages: 2074-2087
Peer Reviewed
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