2013 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞のトリセルラージャンクションによる細胞・組織形態維持機構の解析
Project/Area Number |
23570229
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小田 裕香子 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70452498)
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Keywords | 上皮細胞 / トリセルラージャンクション / 細胞骨格 / 細胞形態形成 |
Research Abstract |
本研究は、上皮細胞が敷石状形態を維持するための、“頂点 (=tricellular junction; TCJ)”の機能と分子機構を明らかにするとともに、組織構築における上皮細胞の“TCJ”が果たす役割の解明を目的として行われた。 昨年度までに、トリセルリンが上皮細胞の形態形成に関わることを見出し、そのイベントに関わる因子として、トリセルリンの下流でアクチン制御に関わるsmall GTPaseであるTubaを同定していた。さらに、①トリセルリンはTubaに結合すること、②トリセルリンはTubaを活性化しアクチン制御を行うことを見出していた。本年度は、Tubaとトリセルリンの結合部位に関する詳細な解析を行い、TubaのC末内のSH3ドメインとトリセルリンN末内のプロリンに富んだ配列が結合することを明らかにした。また、in vitro pull down実験を行い、両者の直接結合を示した。さらに、生細胞におけるアクチンファイバーの動態をFRAPにより解析し、細胞間接着形成時におけるトリセルリン依存的なアクチンファイバーに、G-アクチンが実際取り込まれることを示した。また、トリセルリン ー Tubaの下流シグナル経路についても検討を行い、Tubaの下流としてCdc42 ー N-WASP経路が機能すると考えられた。これらの研究結果を論文として纏め、現在リバイズ中である。 本研究により、上皮細胞研究においてこれまでほとんど明らかにされてこなかった「多角形の細胞の頂点」の役割と機能が明らかになり、今後の細胞生物学研究に新しい視点をもたらすのみならず、免疫系やがん、発生など上皮細胞のダイナミクスが密接に関与する様々な生命現象の理解につながると考えられる。
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Research Products
(1 results)