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2011 Fiscal Year Research-status Report

新規に同定したERK基質群のリン酸化による制御メカニズムの包括的解明

Research Project

Project/Area Number 23570231
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

小迫 英尊  徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (10291171)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
KeywordsERK / MAPキナーゼ / リン酸化 / 細胞内情報伝達 / ダイニン / 細胞運動 / がん化 / プロテオーム
Research Abstract

真核生物に普遍的に存在するERK/MAPキナーゼは、細胞内で多彩かつ重要な役割を果たしているが、その複雑なシグナル伝達ネットワークの調節と機能の仕組みは未だ十分に明らかにされていない。研究代表者らは最近、独自のリン酸化プロテオーム解析法を開発することによってERKの新たな標的基質の候補を多数同定した。本研究ではこれらの新規ERK基質群について、増殖・癌化・運動などの種々の細胞機能のリン酸化による制御機構を包括的に解明することを目標としている。本年度は細胞間接着や癌の浸潤およびアポトーシスの抑制に関与するFam129b/Minervaと微小管モーター分子の一つである細胞質ダイニンの中間鎖Dync1i2を中心に解析し、以下の知見を得た。まずマウスFam129bを特異的に認識する抗体とERKによる複数のリン酸化部位の中の一カ所に対する抗リン酸化抗体を作製し、ウェスタンブロットと免疫細胞染色により、ERKの活性化に依存した時間空間的な内在性Fam129bのリン酸化の変動を詳細に検出した。またDync1i2に対する市販抗体と自作した抗リン酸化抗体を用いて同様に解析したところ、Dync1i2はERKのみならず複数のプロリン指向性キナーゼによって同一部位でリン酸化されることを明らかにした。さらに運動中の繊維芽細胞の進行方向の先導部に位置するleading edgeにリン酸化型Dync1i2が集積することを見出した。今後は細胞運動を中心に種々の細胞機能における上記のリン酸化の生理機能を検討する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

Fam129bとDync1i2のERKによるリン酸化は予定通り詳細に検出することができた。しかし本年度はプロテアソームの制御サブユニットの一つであり、AAAファミリータンパク質に属するRpt5/Psmc3にも注目し、ERKによるリン酸化とRpt5のSUMO化修飾との関連性も調べる予定であった。現在のところRpt5のリン酸化を特異的に認識する抗リン酸化抗体が得られておらず、また一般に細胞抽出液からのSUMO化の検出は細胞内に存在する脱SUMO化酵素の影響を受けやすいため、Rpt5のSUMO化を検出することに難航している。

Strategy for Future Research Activity

平成23年度の研究によってERKの生理的な基質であることが判明したFam129bとDync1i2に対し、繊維芽細胞や上皮細胞において野生型とリン酸化部位の変異型の強制発現やRNAiによるノックダウンを行い、ERKが関与する種々の細胞応答への影響を比較する。具体的にはERK依存的な運動、増殖、癌化などへの影響をwound healing、BrdUの取り込み、軟寒天コロニー形成などの各アッセイによって検討する。特にERKがFam129bのC末端側をリン酸化すること、およびFam129bが繊維芽細胞の細胞間接着部位に濃縮して存在することを見出したため、細胞間接着が発達した上皮細胞におけるFam129bの局在とそのERKリン酸化による変化を検討する。そして細胞遊走や接着阻止におけるFam129bのリン酸化の役割を調べる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

Rpt5に対する抗リン酸化抗体の作製に当たり、リン酸化ペプチドの合成に難航したこと、およびRpt5のSUMO化を再現性よく検出することにも難航したため、研究計画にやや遅延が生じた。今後はリン酸化型やSUMO化型のRpt5のATPase活性と既知の結合因子(pVHLやp14ARFなど)との親和性をまず比較する。そして26Sプロテアソームの形成や細胞内局在、in vitroとin vivoでのプロテアーゼ活性へのRpt5のリン酸化またはSUMO化の効果を調べる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] リン酸化プロテオミクスによるキナーゼ基質の大規模解析2011

    • Author(s)
      小迫 英尊
    • Journal Title

      生化学

      Volume: 83 Pages: 1122-1127

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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