2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570235
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
日笠 弘基 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (40596839)
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Keywords | Wnt / HIPK2 / TCF / 国際情報交換 |
Research Abstract |
Wnt経路の最終因子であるTCF3は転写抑制因子として作用し、ES細胞やiPS細胞の多能性の維持や初期胚の体軸パターン形成の鍵分子である。申請者はTCF3の制御機構に注目し、Wnt刺激に応答して核キナーゼであるHIPK2がTCF3をリン酸化することで標的DNAへの結合を弱め、標的遺伝子の転写促進に働くことを明らかにした。本研究ではさらに発展させ、Wnt上流因子とHIPK2の相互作用およびHIPK2活性化のメカニズムの解明を目的とする。 本研究において、Wnt刺激もしくは、GSK3またはAxinの抑制によって、“βcateninの安定化”と“TCF3のリン酸化”が同時に起こり、 “TCF1/LEF1による転写活性化"と“TCF3による転写抑制の解除"が協調して、Wnt標的遺伝子の発現を増大させることを見いだし、J.Biol.Chemに発表した。さらに、HIPK/TCF3経路を含むWnt経路と脊椎動物初期胚のパターン形成に関する最近の知見をCold Spring Harbor Perspective in Biologyに総説として発表し、さらに、C.S.H.pressから書籍(Wnt signaling)として出版した。 最終年度では、GSK3によるHIPK2の制御機構を解析し、GSK3がHIPK2に結合し、特定部位をリン酸化することで、HIPK2のキナーゼ活性を抑制し、逆にWnt刺激はGSK3によるHIPK2のリン酸化を阻害してキナーゼ活性を上昇させることをin vitroの実験系で見いだし、in vivoでもその作用を検討中である。また、TCF3のリン酸化を指標とした発現スクリーニングにより、Hippo経路のエフェクターである YAPが TCF3のリン酸化を促進し、 HIPK2とこれらの因子が複合体を形成することを見いだしている。今後、これら三者の相互作用とその生理的意義を検討していく予定である。
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