2013 Fiscal Year Annual Research Report
小型魚モデルの利点を駆使した脳形成オーガナイザーの形成制御機構の解明
Project/Area Number |
23570247
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
弥益 恭 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60230439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 哲規 埼玉大学, 理工学研究科, 講師 (10466691)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 脳形成 / 遺伝子ネットワーク / 転写制御 / エンハンサー解析 / 転写調節因子 / GAL4-UAS系 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
1.原腸形成終了期ゼブラフィッシュ胚でのgbx2強制発現により発現変動する遺伝子を網羅的に同定し、神経形成阻害因子her5の発現が中脳で低下することを見出した。さらに、her5の発現を再現する上流3.4 kb DNAの転写活性化能がHEK293T細胞においてgbx2により抑制されること、her5とgbx2の発現が脳原基の中脳後脳境界(MHB)で接することを示した。以上は、gbx2がher5を抑制することで脳原基内に新たな境界領域ができることを示唆する。また、gbx2が中脳・後脳領域でプロニューラル遺伝子neurog1の発現を、まず抑制、その後活性化すること、MHB領域の発生を制御するpou2(Oct3/4の相同遺伝子)の発現がgbx2で抑制されること、pou2とneurog1の発現が脳原基において酷似することを明らかとした。以上より、gbx2が神経分化の制御に関わることを示唆した。 2.pou2の発現を再現する上流2.3 kbの転写調節能をP19細胞で検討した結果、pou2自身とsox3で協調的に活性化され、この発現はher4, neurog1等で抑制、Notchシグナルで活性化された。この結果はpou2が神経分化制御ネットワークの一部であることを示唆する。 3.脳原基で働くGAL4-UAS実験系の構築を行った。これまで、fgf8aのMHBエンハンサー、emx3の終脳エンハンサー、そして視床下部外側野で発現するhypocretinのプロモーターをGFP標識GAL4(GGFF)につなぎ、これらを導入した魚(Tg魚)とRFPがUAS制御下にあるTg魚を交配することで、子孫胚においてRFPが領域特異的に誘導された。一方、UASの下流にzic1とemx3を置いたTg魚系統を樹立した。これらのTg魚を利用することで、脳発生制御機構について詳細な解析が可能となった。
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