2013 Fiscal Year Annual Research Report
両生類網膜再生の初期過程を制御する細胞結合の調節機構と色素上皮の分化転換
Project/Area Number |
23570255
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
荒木 正介 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (00118449)
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Keywords | 網膜再生 / ツメガエル / 網膜色素上皮細胞 / 細胞間結合 |
Research Abstract |
成体のアフリカツメガエルでは網膜を除去すると、完全に再生する。再生の起源となるのは網膜色素上皮細胞(RPE細胞)である。一方、ネッタイツメガエルでは、同様に網膜が再生するが、その起源となる細胞は毛様体辺縁部の幹細胞であり、RPE細胞は網膜を再生しない。これらの現象を組織培養条件下において解析することによって、RPE細胞が脱分化、分化転換して網膜を再生するメカニズムを明らかにすることを目的に研究を実施した。 組織培養したアフリカツメガエルRPE細胞は、組織片から周囲に這い出し、上皮ゾーンを形成し、次に前分化ゾーン、さらに神経分化ゾーンと移動する。組織片や、上皮ゾーンでは、RPE細胞はN-cadherin、connexin-43に陽性で典型的な上皮形態をもつが、前分化ゾーンでは、connexin-43は陰性になり、上皮の性質に変化が見られる。網膜分化に必要な遺伝子、RxとPax6の発現をmRNAの分布で調べると、組織片や上皮ゾーンでRxが発現するが、前分化ゾーンではRxは低下し、Pax6が強く認められた。また、このゾーンでは活発なDNA複製が認められた。 これに対して、分化転換しないネッタイツメガエルRPE細胞では、組織片を這い出したRPE細胞は上皮ゾーンを形成することなく、周囲へ移動する。従って、N-cadherinに陽性のゾーンは見られない。そして、Rx、Pax6いずれもほとんど発現は見られなかった。続いて、ネッタイツメガエルでN-cadherin遺伝子を強制発現させ、細胞の変化を調べた。その結果、N-cadherin陽性の上皮形態をもつ領域が現れ、Rx遺伝子の発現も見られた。ところが、神経分化はおこらなかった。 以上の結果より、上皮性の維持はRx遺伝子の発現とその維持には必要であるが、これだけで網膜再生がおこるわけではなく、さらに他の細胞間連絡、例えばギャップ結合などが必要であると示唆される。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Abnormal retinal development associated with FRMD7 mutations2014
Author(s)
Thomas MG, M Crosier, S Lindsay, A Kumar, M Araki, B P Leroy, R J McLean, V Sheth, G Maconachie, S Thomas, A T Moore, I Gottlob
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Journal Title
Human Mol. Genetics
Volume: unknown
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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