2011 Fiscal Year Research-status Report
マウス生殖系列へのリプログラムに関わるニッチェ形成機構の解明
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23570258
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 聡 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (10321944)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / 発生生物学 / マウス |
Research Abstract |
マウス生殖細胞の発生において、その発生運命決定のボトルネックとなる過程は、胚の胚後端部領域での前駆細胞集団による細胞塊形成と、その集団からの生殖細胞の選択である。申請者らが作出したDullard -/-マウス胚では、Prdm1及びIfitm3陽性の生殖前駆細胞集団の細胞塊が形成されず、PGCを欠損する。この前駆細胞集団による細胞塊の形成不全は、BMPシグナル非依存的であったことから、他のシグナルカスケードがこの細胞塊形成を制御していることが考えられる。我々は、Dullard -/-マウス胚での生殖細胞の形成不全にWntシグナルが重要な役割を担っている事を見いだした。1) )Dullard -/-マウス胚と同様にWnt3-/-マウス胚でも、Prdm1陽性の前駆細胞集団の細胞塊が形成されずPGCを欠損すること、2) DullardとWnt3のそれぞれのヘテロマウス胚(Dullard +/-; Wnt3+/-)では、形成されるPGC数が減少すること及び、3) Dullard -/-マウス胚よりWnt3 alleleを1本除くと(Dullard -/-; Wnt3+/-)、PGCが形成されるようになることを明らかにした。さらに、Dullard -/-マウス胚では、Wnt3やDkk1の発現が上昇しており、その結果、全体のcanonical Wntシグナル活性が低下していることを見いだした。一方、Dullard -/-; Wnt3+/-胚では、Wnt3の発現上昇が部分的に押さえられ、また、全体のcanonical Wntシグナル活性は部分的に回復していた。これらの結果から、Wntシグナルがこの細胞塊形成に重要な役割を担っている事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス細胞塊形成を誘導する分子機構の解明については、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前駆細胞集団からの生殖細胞の選択の制御機構の解明については、レポーターマウス等のトランススジェニックマウスの作製をおこなったが、期待通りほどの組織特異性と強いシグナルが得られなかったので、再度、コンスタント等に工夫を加えて、作製を試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の変更等は、特になし。
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Research Products
(2 results)