2011 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュ精原幹細胞の増殖因子の同定とその応用
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23570260
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
酒井 則良 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 准教授 (50202081)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 精子形成 / 精原幹細胞 / 細胞培養 |
Research Abstract |
本研究はゼブラフィッシュにおいて新規の精原幹細胞増殖因子を見つけ、それにより長期にわたり精原幹細胞培養できる系を確立することを目的とする。初めに精原幹細胞増殖因子の探索を進めた。ブサルファン処理により未分化型精原細胞のみとなった精巣と正常に精子形成を行っている精巣とのマイクロアレイ解析を行い、未分化型精原細胞のみを含む精巣でアクチビン受容体2b、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体4、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体a、インスリン様増殖因子(IGF)2の遺伝子が上昇していることを認めた。vasプロモーターegfp遺伝子のトランスジェニックの精巣から単離した未分化型精原細胞と分化型精原細胞に対して、それらの遺伝子のRT-PCR解析を行い、PDGFとIGFの受容体が未分化型精原細胞で強く発現していることを確認した。この結果は、IGF1がゼブラフィッシュ精原幹細胞の増殖に効果があるというこれまでの知見と一致した。そこで、新たな因子としてヒトPDGFを精原幹細胞培養系へ添加したところ、培養1ヶ月でおよそ1.5倍の増殖効果が認められた。現在、ゼブラフィッシュPDGFのリコンビナントタンパクを作成し、その効果を検討しているところである。併行して、ヒト胚性幹 (ES) 細胞で細胞外基質の構成要素ヒアルロン酸が長期間にわたる増殖に必要があることが報告されたため、ゼブラフィッシュの精原幹細胞の増殖効果を同様に培養系で確認した。その結果、PDGFと同等の効果を示すことが明らかとなった。このことは細胞外基質成分がゼブラフィッシュの精原幹細胞の増殖に必要であることを示唆するものである。現在、細胞外基質の他の構成成分も検討するとともにPDGFとの相乗効果を調べ、培養期間に及ぼす効果を解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精原幹細胞の増殖因子の探索では、すでに精原幹細胞培養系確立時に検討した増殖因子が多く見つかり新規のものが少なかったため、当初予定よりも同定できた因子は少ない。しかし、細胞外基質の影響を検討したところ、その効果が明らかとなり、最終的な目標の精原幹細胞の長期間培養の確立に有用な結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
精原幹細胞増殖因子については当初解析を想定していた数に比べてそれほど多くないことが判明したが、別の因子として細胞外基質成分の解析の必要があることがわかった。精原幹細胞増殖因子を解析するための経費と時間の一部を細胞外基質成分の解析にあてて、長期間の精原幹細胞培養系の条件を検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定した精原幹細胞増殖因子を解析するための経費の一部を細胞外基質成分の解析にあて、研究費の総額は変更なく進める計画である。
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Research Products
(3 results)