2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ精原幹細胞の増殖因子の同定とその応用
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23570260
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
酒井 則良 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 准教授 (50202081)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 精子形成 / 精原幹細胞 / 細胞培養 |
Research Abstract |
本課題はゼブラフィッシュにおいて新規精原幹細胞増殖因子により長期の精原幹細胞培養系を確立し、遺伝子改変等に応用することを目的とした。本年度は、Bone morphogenetic proteinの拮抗阻害剤を検討し、精巣体細胞の増殖を抑え精原幹細胞を増殖させることを認めた。同じトランスフォーミング増殖因子-β (TGF-β) 系のGlial cell-derived neurotrophic factorが精原幹細胞の増殖に効果があるため、これら2つのTGF-β系因子は受容体を共有せずに精原幹細胞の増殖・分化に作用するものと推測される。さらに、ショウジョウバエ生殖系幹細胞の増殖に効果を持つヘパラン硫酸を検討し、この魚の精原幹細胞の増殖に効果があることを認めた。初年度に血小板由来増殖因子とヒアルロン酸が精原幹細胞の増殖に効くことを見つけており、現在これらの因子の相加効果を解析し、より長期の培養条件を確立中である。昨年度、がん化精巣を培養することで従来の2倍程度長く培養できること、この細胞への遺伝子導入条件を見つけており、当初目的とした遺伝子改変に対応可能な長期の精原幹細胞培養系を確立できたものと考える。 また併行して、がん化精巣はまれにしか出現しないため、その維持法を検討した。ゼブラフィッシュの免疫不全変異体にがん化精巣断片を皮下移植すると、一ヶ月程度でもとのがん化精巣と同等の大きさまで回復すること、それを再度断片化し移植することで、がん化精巣を継代維持できることがわかった。組織切片観察と精原幹細胞培養により継代したがん化精巣の形質を調べたところ、3つのうち2つのがん化精巣は最初に見つかった状態と同じであった。したがって、継代過程で形質が変化をしていない組織を選択していくことでがん化精巣を維持することが可能であり、常時この組織を利用できるようになった。
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