2013 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルによるユビキチンシステムを介した細胞運動制御
Project/Area Number |
23570262
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
木下 典行 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 准教授 (30300940)
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Keywords | 細胞接着 / ユビキチン |
Research Abstract |
動物の体作りにおいて、原腸形成は発生初期に起きる重要な形態形成運動である。この運動により、中胚葉は内胚葉と外胚葉の間に入り込み、脊椎動物の基本的な体制である三胚葉構造が作られる。本研究では、アフリカツメガエル胚の原腸形成運動において、カドヘリン・ファミリー接着分子の一つ、paraxial protocadherin (PAPC) が重要であることを明らかにした。アンチセンス・モルフォリノオリゴを用いて、PAPC遺伝子の機能阻害実験を行うと、運動する細胞のintegrityが失われ、組織全体の秩序だった運動がおこらなくなった。さらに本研究では、PAPCの細胞膜局在の制御に、ユビキチン・システムが関わっていることがわかった。ユビキチンE3リガーゼの一つ、β-TrCPが、その制御に関わっている。β-TrCPは、Wntシグナルにおいて、シグナル伝達の中心的な役割を果たすβ-カテニンの分解に関わる分子として知られている。β-TrCPのドミナント・ネガティブ変異遺伝子を発現させたり、アンチセンス・モルフォリノオリゴで遺伝子発現量を下げるノックダウン実験を行うと、原腸形成が異常になった。PAPCの細胞内局在を観察すると、細胞膜への局在が減少し、細胞内小胞への局在が増加していた。さらにPAPCはユビキチン化されていること、β-TrCPとPAPCの細胞内ドメインは結合すること、ドミナント・ネガティブβ-TrCPによって、そのユビキチン化が減少することがわかった。β-TrCPは、PAPCをユビキチン化することでPAPCの局在を制御し、原腸形成運動を正常に行わせるために重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)