2012 Fiscal Year Research-status Report
大腸菌とRNAファージQβから成るモデル共進化系における宿主ゲノムの経時変化解析
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23570268
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柏木 明子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40362652)
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Keywords | 実験室内進化系 / 共進化 / 感染抵抗性 |
Research Abstract |
申請者が構築した大腸菌とRNAバクテリオファージQβ(Qβファージ)とを用いた実験室内共進化系での大腸菌全ゲノム配列をもとにした分子進化を前年度に明らかにした。大腸菌のFプラスミド上のtraQ遺伝子と大腸菌ゲノム上のcsdA遺伝子に点変異がそれぞれ1箇所確認された。また、共進化した大腸菌を宿主とした場合、野生型Qβファージの大腸菌への吸着が大きく抑制されていることを昨年度までに明らかにした。これらのことより、上記2遺伝子の変異が野生型Qβファージの大腸菌への吸着阻害と何らかの関係があることが示唆された。そこで、今年度は検出されたtraQ遺伝子の変異が大腸菌の表現型に与える影響を解析するために必要な大腸菌株の構築を行った。また、Qβファージは大腸菌のF繊毛に吸着する。そこで、共進化大腸菌が示すQβファージの吸着阻害はF繊毛構成タンパク質量が変化しているためではないかと仮定を立て、このことを明らかにするため、F繊毛構成タンパク質であるTraAに対する抗体を作製した。 共進化実験開始時の大腸菌(Anc(C))と共進化した大腸菌(M54(C))とが持つtraQ遺伝子を発現ベクターpASK-IBA3(+)のテトラサイクリンプロモーターの下流に導入した。それぞれの遺伝子が設計通りにクローニングされたことを塩基配列決定によって確認した。また、traQタンパク質がテトラサイクリンプロモーターから発現されることをSDS-PAGEで確認した。さらに、TraAタンパク質に対する抗体をウサギを用いて作製し、TraAタンパク質が特異的に検出されることをウェスタンブロッティング法を用いて確認した。 以上より、研究計画調書2年目に示した計画通り、共進化実験で得られた変異の解析に用いる大腸菌株の作製とQβファージ感染に必須なF繊毛に対する抗体の作製が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに検出された実験室内共進化系の宿主大腸菌が持つ変異であるtraQ遺伝子上への変異が表現型にもたらす影響を解析することに用いる大腸菌株の作製を完了した。この作製は当初計画の2年度目の目標としていた。また、共進化した大腸菌が示すQβファージの感染吸着抑制とF繊毛構成タンパク質量との関係を求めるために、F繊毛構成タンパク質TraAに対する抗体を作製した。この抗体がTraAタンパク質に特異的に免疫反応することをウェスタンブロッティング法で確認した。 上記のように研究計画調書2年目に記載した計画を達成したため、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に作製した大腸菌株と抗体を用いて、実験室内共進化系で宿主大腸菌に生じた変異が大腸菌の表現型に与える影響について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度作製した大腸菌株と抗体を用いた大腸菌の表現型解析は、Qβファージの増幅率測定とウェスタンブロッティング法によるタンパク質の定量解析が主となる。それらに必要なプラスティック実験器具、培地、2次抗体、発色試薬類などを消耗品として使用する予定である。次年度使用額が37,606円になったのは、解析委託した塩基配列解析の結果が出揃うのに年度をまたいだためである。また、初年度と2年度の研究成果の発表や今後の研究推進に必要な情報を収集するために、国内の学会に参加する旅費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 独立栄養から従属栄養に向けてのシアノバクテリアの実験進化2012
Author(s)
羽渕真清, 宮崎美賀子, 瀧川剛, 松本佑介, 末吉眞人, 木内あや子, 細田一史, 鈴木真吾, 柏木明子, 森光太郎, 四方哲也
Organizer
日本進化学会第14回東京大会
Place of Presentation
首都大学東京
Year and Date
20120821-20120824
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