2013 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌とRNAファージQβから成るモデル共進化系における宿主ゲノムの経時変化解析
Project/Area Number |
23570268
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柏木 明子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40362652)
|
Keywords | 実験進化 / 共進化 / 大腸菌 / RNAバクテリオファージ / F繊毛 |
Research Abstract |
新型・変異型ウイルスの発生は社会問題の一つでありその多くがRNAウイルスであることを考えるとRNAウイルスの進化機構解明は重要である。申請者は、実験室内モデル共進化系を構築し、RNAウイルスと宿主がいかに共進化するのかを研究してきた。その結果、共進化によってRNAウイルスの分子進化が加速されること、短期間で宿主特異性や宿主に対する毒性が変化すること等を明らかにした。本研究は、宿主のゲノム変化に着目し、その経時変化を大規模シークエンス解析を用いて分析・評価することを目的としている。 最終年度は、昨年度までに明らかにしたQβとの共進化によって部分抵抗性を獲得した大腸菌が持つtraQ遺伝子が部分抵抗性の責任遺伝子であるかどうかについて検討した。部分抵抗性株に野生型のtraQ遺伝子を導入すると、Qβの増幅が復活し、またF繊毛構成タンパク質であるtraAタンパク質量が野生型株と同程度まで回復することを明らかにした。さらに、部分抵抗性株が持つtraQを部分抵抗性株の中で高発現すると、野生型のtraQを供給したときよりは小さいが、Qβの増幅が回復し、その高発現株でのtraAタンパク質量は野生型より少なく部分抵抗性株より多くなるという結果を得た。 以上の実験結果より、大腸菌とQβの実験室内共進化系で得られた大腸菌の部分抵抗性に対する責任遺伝子はtraQ遺伝子であり、部分抵抗性はTraQタンパク質内の1アミノ酸置換によって生じている可能性が強く示唆された。
|
Research Products
(4 results)