2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570269
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
寺井 洋平 総合研究大学院大学, その他の研究科, 助教 (30432016)
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Keywords | 種分化 / 環境適応 / 光受容体 / 婚姻色 |
Research Abstract |
私は近年、感覚器(視覚)の適応によって引き起こされる種分化の機構を明らかにしてきた。本研究では、1) 感覚器の受容するシグナルが性選択により分化すること、2) この種分化の機構が生物多様性獲得の共通の機構となっていることを示すことを目的としている。昨年度までに1) について研究を進めてきた。本年度は2) に重点をおいて研究を進めた。研究計画にあるNothobranchius属の魚類については、これまでオスの婚姻色が非常に多様化していることが知られていた。このことから私はNothobranchius属において視覚が多様化しており、この視覚に感度がよく受容される婚姻色が性選択によって進化してきたと予想した。しかし、これまでにこの属の魚類について視覚関連遺伝子の報告はまだなかった。そこで本研究では始めにNothobranchius属の1種、N. foerschiの眼からRNAを抽出して次世代シークエンサーにより配列を決定した。次にde novoアセンブリによりcDNAの配列を構築し、そこからオプシンの遺伝子の単離を行った。その結果、SWS1, SWS2, RH2B, RH2A, LWSの5つの色覚オプシンと薄明視に関するオプシンのRH1の単離に成功した。色覚オプシンの発現量は、SWS2, RH2A, LWSが高く、長波長側の吸収に適したオプシンの組み合わせを用いていた。さらに1つのオプシンの配列をNothobranchius属の他種から決定して比較したところ、多くのアミノ酸が置換しており、そのうち半数以上がカワスズメ科魚類において吸収波長の変化に関係があると予想されたアミノ酸位置であった。以上のことからNothobranchius属において視覚が多様化しており、この視覚に感度がよく受容される婚姻色が性選択によって進化してきたことが予想される。
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Research Products
(12 results)