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2012 Fiscal Year Research-status Report

ヒト特異的な発現・機能の変化を示すシアル酸受容体Siglec-11の進化

Research Project

Project/Area Number 23570271
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

早川 敏之  京都大学, 霊長類研究所, 助教 (80418681)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 安形 高志  独立行政法人理化学研究所, システム糖鎖生物学研究グループ, チームリーダー (40371017)
Keywordsヒトの進化 / ヒト化 / シアル酸 / 受容体 / 遺伝子変換
Research Abstract

ヒトSiglec-11はシアル酸受容体であり、Siglec-16遺伝子による遺伝子変換によってヒト特異的にシアル酸認識能が変化したと考えられる。このヒトでのシアル酸認識能の変化の進化的な検討のため、ヒト、チンパンジー、ゴリラのSiglec-11とSiglec-16のシアル酸認識能を調べた。その結果、各Siglecの間でシアル酸認識力には違いがあるものの、シアル酸認識特異性は同じであることがわかった。ヒトSiglec-11とSiglec-16は、マクロファージや脳ミクログリアといった同じ細胞で発現しており、Siglec-11とSiglec-16はシアル酸認識特異性ばかりでなく発現部位も同じである。そして、Siglec-11は抑制性受容体、Siglec-16は活性化受容体とその働きは正反対であることから、Siglec-11とSiglec-16は細胞機能の微調整に関わるペア型受容体と考えられる。
また、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、テナガザル、ヒヒのSiglec-11遺伝子とSiglec-16遺伝子の配列を解析したところ、各霊長類系統で遺伝子の上流部とシアル酸認識ドメインをコードするエクソンを含む領域にて、遺伝子変換がおこっていることがわかった。このため、遺伝子変換によってSiglec-11とSiglec-16のシアル酸認識特異性と発現が同じになっているとみられ、遺伝子変換はペア型受容体を維持するゲノムメカニズムと考えられる。
本成果は、Siglec-11がSiglec-16とのペア型受容体として進化してきていることを示し、ヒトの進化におけるSiglec-11の役割を考える上で、ペア型受容体という視点を提供する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究目的にて提示した4つの課題のうち、Siglec-11、Siglec-16のシアル酸認識能の進化について、知見が得られている。また、ST8Sia2のヒト特異的な変化について研究を進め、ヒト特異的な変化のおこった時期、ヒト以外の霊長類での特殊な進化の有無、ヒト特異的な変化に対する自然選択について予備的な知見が得られている。このため順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

計画にもとづき、DNA配列の決定と配列解析をおこない、得られた成果を論文等に発表する。なお研究分担者の希望により、平成24年度は組換えタンパク作製とシアル酸認識能の解析を重点的におこなった。それにともない、年度間で実施内容の一部入れ替えをおこなった。この入れ替えは研究計画を変更するものではない。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度実施予定のDNA配列決定と解析の一部と、平成25年度実施予定の組換えタンパク作製とシアル酸認識能の解析の入れ替えにともない、平成24年度の実験に関わる研究費の一部を平成25年度に繰り越し使用する。これに関連しない実験および解析に必要な研究費は、計画通りに使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Evolution of Siglec-11 and Siglec-16 genes in Hominins2012

    • Author(s)
      X. Wang, N. Mitra, P. Cruz, L. Deng, NISC Comparative Sequencing Program, N. Varki, T. Angata, E.D. Green, J. Mullikin, T. Hayakawa, A. Varki
    • Journal Title

      Molecular Biology and Evolution

      Volume: 29 Pages: 2073~2086

    • DOI

      10.1093/molbev/mss077

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] シアル酸受容体Siglec-11/Siglec-16と遺伝子変換

    • Author(s)
      早川敏之、安形高志、Ajit Varki
    • Organizer
      日本進化学会第14回大会
    • Place of Presentation
      首都大学東京(東京都)
  • [Presentation] ヒト系統におけるシアル酸受容体Siglec-11の進化

    • Author(s)
      早川敏之、Nivedita Mitra、Xiaoxia Wang、Nissi Varki、Ajit Varki
    • Organizer
      第28回日本霊長類学会大会
    • Place of Presentation
      椙山女学園大学(愛知県)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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