2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570274
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
猪股 伸幸 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (20301335)
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Keywords | 遺伝子発現 |
Research Abstract |
生物の適応進化において、多型的な遺伝変異は重要な役割を担っており、遺伝変異の分子基盤を理解することは重要である。アミラーゼはスターチをマルトースとグルコースに分解する経路で使われる酵素である。ショウジョウバエのα-アミラーゼは、遺伝的変異が多数存在し、えさに対する応答をコントロールする調節因子にも遺伝的変異があることが分かっている。マルターゼは、アミラーゼと同じスターチを分解する経路で使われる酵素であり、主としてマルトースをグルコースに分解する。そこで、本研究ではスターチ分解経路に着目し、自然集団のキイロショウジョウバエにおいて、アミラーゼ遺伝子およびマルターゼ遺伝子の発現量を調査して、2種類のえさ環境条件下で、遺伝子発現ネットワークがどのような挙動を示すのかを明らかにすることを試みた。 36単一メス系統をグルコースとスターチのえさに分けて飼育し、回収した三齢幼虫を用いて、リアルタイムPCRによって各遺伝子の発現量を測定した。先行研究同様、アミラーゼ遺伝子(Amy-d)発現量は、グルコースえさに比べて、スターチえさの方が有意に高かった。今回の実験で調査した11のマルターゼ遺伝子は、Amy-dのようにスターチえさで育てた三齢幼虫の遺伝子発現量の方が高いという傾向を観察することはできなかった。調査した15遺伝子のうち、Amy-d、Mal-A1、Mal-A5b、Mal-A6、Mal-A8、Mal-B2、CG7685(Amy-d以外はマルターゼ遺伝子)の7遺伝子に遺伝的変異が存在した。この7遺伝子について、発現パターンの相関がある遺伝子ペアを探すために相関係数を算出し、遺伝子発現ネットワークを作成した。この結果から、えさ環境が異なるとマルターゼ遺伝子の使われ方が異なることが示唆された。
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