2012 Fiscal Year Research-status Report
葉緑体遺伝子の偽遺伝子化プロセスにおける翻訳不活性化の検証
Project/Area Number |
23570276
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中邨 真之 名古屋市立大学, その他の研究科, 研究員 (60322145)
|
Keywords | 葉緑体 / 翻訳 / 共生 / in vitro翻訳系 / リボソームタンパク質 |
Research Abstract |
葉緑体はランソウ様の原核生物が宿主細胞に共生して生じた。葉緑体ゲノムは進化の過程で多くの遺伝子を宿主の核ゲノムへと移行させてきた。この葉緑体ゲノム進化の中間段階では、葉緑体ゲノムと核ゲノムの両方に存在する相同遺伝子が同時に機能し、その後、葉緑体ゲノムに存在する遺伝子の偽遺伝子化・消失がおこるが、その偽遺伝子化プロセスは不明のままである。本研究では、偽遺伝子化プロセスの一つとして葉緑体mRNAの翻訳活性が著しく低下していることを明らかにするため、核と葉緑体の両ゲノムに存在することが明らかとなっているタバコrps16遺伝子をモデルに研究を行う。前年度までに葉緑体のリボソームには核ゲノム由来のS16タンパク質が含まれていることを明らかにしたので、本年度は、葉緑体rps16 mRNAの翻訳活性について葉緑体in vitro翻訳系を用いて解析した。 (1)葉緑体rps16 mRNAの翻訳活性を測定したところ、リボソームタンパク質をコードするrps2 mRNAの翻訳活性と比較して500倍以上も低いことを明らかにした。 (2)葉緑体rps16 mRNAの翻訳活性が著しく低い原因が、タンパク質コード領域にあるのか5’非翻訳領域にあるのかについて、rps2 mRNAやT7gene10由来の5’非翻訳領域、S2タンパク質や緑色蛍光タンパク質(GFP)のコード領域などとのキメラmRNAを作成して解析した。その結果、rps16 mRNAの5’非翻訳領域は翻訳活性がほとんどないことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、葉緑体rps16 mRNAの翻訳活性が著しく低いこと、さらに、その原因が5’非翻訳領域にあることを明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究は当初計画通り、順調に進展することができた。今後も当初計画に沿って研究を推進していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|