2013 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体遺伝子の偽遺伝子化プロセスにおける翻訳不活性化の検証
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23570276
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中邨 真之 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 研究員 (60322145)
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Keywords | 葉緑体 / 翻訳 / 共生 / リボソームタンパク質 |
Research Abstract |
葉緑体は光合成を行うラン藻様の原核生物が宿主細胞に共生して生じた。葉緑体ゲノムの進化過程では多くの葉緑体遺伝子が宿主の核ゲノムへと移行した。この葉緑体ゲノム進化の中間段階では、葉緑体ゲノムと核ゲノムの両方に存在する相同遺伝子が同時に機能し、その後、葉緑体ゲノムに存在する遺伝子の偽遺伝子化・消失がおこるが、その偽遺伝子化プロセスは不明のままである。本研究では、偽遺伝子化プロセスの一つとして葉緑体mRNAの翻訳活性が著しく低下していることを明らかにするため、核と葉緑体の両ゲノムに存在することが明らかとなっているタバコrps16遺伝子をモデルに研究を行った。前年度までに葉緑体のリボソームには核ゲノム由来のS16タンパク質が含まれていること、rps16 mRNAの5’非翻訳領域は翻訳活性がほとんどないことを明らかにしてきた。本年度は、葉緑体rps16 mRNAの翻訳抑制にかかわるシス配列について、葉緑体in vitro翻訳系を用いて解析した。様々な欠失変異を導入したrps16 mRNAの5’UTRを作製し、翻訳活性を測定した。その結果、翻訳開始点上流59塩基から47塩基の13塩基を欠失させたrps16 5’UTRが翻訳活性を有していたことから、rps16 mRNAの翻訳抑制シス配列がこの領域に存在することが明らかとなった。
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