2011 Fiscal Year Research-status Report
運動条件に依存する大腿筋活動水準の階層性と生理応答との全身的協関
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23570287
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
平木場 浩二 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (70173226)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 運動ストレステスト / 筋電図 / 筋赤外分光法 / 酸素摂取水準 / 血中乳酸 / 内的仕事量 |
Research Abstract |
研究初年度(平成23年度)においては、自転車駆動運動時の運動条件:筋収縮頻度と筋発揮張力の変化に対する大腿筋の5部位別の活動水準および階層性の標準化を研究目的とした。被験者は、健康な男子大学生10名とした。自転車駆動運動時の大腿筋活動水準の評価を行うために、自転車駆動における二つのストレステスト:(1)筋収縮頻度漸増運動(FI : ペダル負荷を0.5 kpの一定とし、ペダル回転数を40 rpmから120 rpmまで2分毎に 20 rpmを漸増する)、(2)筋発揮張力漸増運動 (LI: ペダル回転数を60 rpmの一定とし、ペダルへの発揮張力(Load)を0.5 kpから3.0 kpまで2分毎に0.5 kpを漸増する)を実施し、運動時の筋電図、筋赤外分光法による酸素化/脱酸素化動態、全身の酸素摂取量(VO2)および血中乳酸濃度(La)を測定した。FIとLIにおける外的仕事量(EP)に対するVO2応答を比較すると、LIのVO2は直線的に増加したのに対し、FIのVO2は指数関数的な増加を示した。また、EPと内的仕事量(IP)を総計した総仕事量(TP)に対してVO2はLIおよびFIとも直線的に増加し、両ストレステストのTPに対するVO2は同一線上にあることが確認された。一方、5部位(外側広筋、内側広筋、大腿直筋、大腿二頭筋、半腱様筋)の大腿筋活動水準を積分筋電図の総計(iEMGtotal)で両運動時の筋活動水準を評価すると、FIとLIにおけるiEMGtotalがVO2に対して直線的に上昇し、さらに同一線上にあることが確認された。以上のことから、両ストレステストで個々の部位別の筋活動水準には個人差があったが、筋収縮速度のみを漸増するFIと筋発揮張力のみを漸増するLIに関わらず、大腿筋全体の筋活動水準が自転車駆動運動時の代謝ストレスに大きく影響することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である平成23年度は、自転車駆動運動時の5部位の大腿筋活動水準と全身的な代謝水準(メタボボリックス・トレス)を反映する全身の酸素摂取水準の関係からの大腿筋活動水準の階層性の標準化を検討課題とした。そのための運動ストレス・テストとして、筋収縮頻度漸増運動(FI)と筋発揮張力漸増運動(LI)の二つの異なる運動ストレス・テストを設定し、生理変量を測定・評価した。、同一外的仕事量と総仕事量での筋収縮速度のみを漸増したFIと筋発揮張力のみを漸増したLIにおける5部位(外側広筋、内側広筋、大腿直筋、大腿二頭筋、半腱様筋)の大腿筋における筋活動水準の相違点、5部位の筋活動水準と酸素摂取量応答の関係の相違点を明らかにできたが、標的筋である外側広筋の表層部と深層部の活動水準の階層性の評価は次年度の検討課題として残った。一方、これらの研究結果に基づいて、次年度(平成24年度)の計画にある筋収縮頻度水準と筋発揮張力水準の複合的な組み合わせによる運動ストレス・テストの運動条件を設定できるようになることと、これに付随した筋収縮頻度と筋発揮張力の複合的組み合わせの大腿筋活動水準と階層性への影響を検証することが可能となると考えられることから、概ね達成できたものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度の研究結果に基づいて、平成24年度の主実験である、代謝需要水準が一定となるように、自転車駆動運動時の大腿筋の収縮頻度と発揮張力の複合的組み合わせのための基礎資料が得られたことから、大腿筋発揮張力と収縮頻度を組み合わせる条件を検討し、(1)低発揮張力-高頻度収縮条件、(2)中発揮張力-中頻度条件、(3)高発揮張力-低頻度条件)の運動ストレス・テスト条件を設定する。これらの異なる運動条件における5部位(外側広筋、内側広筋、大腿直筋、大腿二頭筋、半腱様筋)の大腿筋における筋活動水準および5部位の大腿筋活動水準と全身の酸素摂取動態関連変量(酸素摂取量の時定数と緩成分)との関係に及ぼす筋収縮頻度と筋発揮張力の貢献度等を検討するとともに、筋赤外分光法を用いて自転車駆動運動の主動筋である外側広筋を標的筋として表層部と深層部の活動水準を評価し、大腿筋の運動条件に依存した階層性を明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究計画に一部である大腿筋活動の活動水準の階層性の評価が平成24年度の検討課題として追加されたために、収支状況報告書にあるように、「次年度使用額」として計上することとなった。従って、平成24年度に請求する研究費は、研究初年度の課題として残った筋収縮頻度漸増運動(FI)と筋発揮張力漸増運動(LI)における標的筋である外側広筋の表層部と深層部の筋活動水準の階層性を測定・評価するための経費として、さらに平成23年度の研究成果に基づいて、新たに設定する3種類の運動条件(筋収縮頻度と筋発揮張力の複合的組み合わせ)で運動ストレステスト時の5部位の大腿筋活動水準の評価、標的筋である外側広筋における活動水準の階層性の評価および5部位の大腿筋活動水準および標的筋の活動水準の階層性と全身的な酸素摂取動態との関係を検証する平成24年度の実験計画遂行のための経費および平成23年度の研究成果を国際学会で共同発表する予定であり、このためにも経費が必要となる。
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Research Products
(1 results)