2011 Fiscal Year Research-status Report
食事制限による生体内酸化ストレス低減:機能的潜在性の再獲得
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23570290
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
河野 比良夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (30148522)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 機能的潜在性 / 食事制限 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
短期間絶食ラット肝臓において酸化ストレス関連たんぱく質の遺伝子が発現誘導される現象を見出し、この現象がFCS欠乏条件下で培養したラット肝がん細胞においても観察されたことから、同条件下での細胞培養は「食事制限のin vitroモデル」として「食事制限による酸化ストレス耐性の増強効果」の機構解明のための有効なツールとして使用可能であると考えられる。今年度は、FCS欠乏条件下で培養したラット肝がん細胞において観察された、酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子の発現誘導現象が、ヒトにおいても認められるか否かを検討した結果、FCS欠乏条件下で培養したヒト肝がん細胞において、ラット肝がん細胞の場合と同様に、酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子の発現誘導現象が観察された。また、検討した酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子のうち、メタロチオネイン遺伝子は短期間絶食ラット肝臓、FCS欠乏条件下で培養したラットおよびヒト肝がん細胞のすべてにおいて発現誘導現象が認められ、その誘導率も最も高かったことから、次年度以降におけるFCS欠乏条件下での培養による酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子の発現誘導機構の詳細な解析のための最適なマーカーとして使用することに決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ラット培養細胞を用いた実験系をヒト由来の培養細胞に適用することが可能であることを明らかにした。またFCS欠乏条件下での培養による酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子の発現誘導機構の詳細な解析のためのマーカーとして、メタロチオネイン遺伝子が最適であることも見出した。これらにより、次年度以降の研究を行うのに必要な前提条件は揃ったものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、ヒトの各種組織由来の培養細胞を用いて、(1) FCSを欠乏させた無血清培地に、FCSに含まれる各種成分(特に細胞増殖因子)を添加した条件下で培養し、メタロチオネイン遺伝子の発現誘導に対する抑制効果を検討することによる、FCS欠乏による遺伝子の発現誘導に関与するFCS中の成分の特定と(2)FCS以外の主要培地成分(アミノ酸、グルコース等)の欠乏による、酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子の発現誘導効果の有無の検討を行い、FCS欠乏条件下での培養による酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子の発現誘導機構の詳細な解析のための具体的な方策を立案し、実行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度と同様に、ヒトの各種組織由来の細胞株の培養と遺伝子の発現解析に使用するが、次年度以降はFCS欠乏条件下での培養による酸化ストレス関連たんぱく質遺伝子の発現誘導機構の詳細な解析のために、各種シグナル伝達系とそれに係わる各種転写活性化因子の機能解析を行う必要があるため、それらにも使用する。
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