2011 Fiscal Year Research-status Report
ホウレンソウにおける性決定遺伝子コード候補領域の絞り込み
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23580001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 康之 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80374619)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 植物育種 / 遺伝 / F1ハイブリッド / 性染色体 |
Research Abstract |
ホウレンソウ雌株と雄株の戻し交雑集団(BC1)において,雄性決定遺伝子と共分離する4個のAFLPマーカーをBAC選抜に適したSCARマーカーに変換した.さらに,雄性決定遺伝子(Y)に近接して挟むようにマップされる共優性分子マーカーセットも開発した. 雄性決定遺伝子と共分離する7個のSCARマーカー(前述の4個および既存の3個)を用いて,ホウレンソウ雄株ゲノムのBACライブラリーのスクリーニングを行った.その結果,6個のマーカーによって,合計21個のBACクローンが単離された.選抜に用いたマーカーは互いに共分離する(すなわちマーカー間距離0cM)にも拘らず,各マーカーから共通したクローンが選抜されることは無かった.すなわち,雄性決定遺伝子(Y)が座乗する領域は,組換えが広範囲に亘って抑制されている可能性が示唆された.つまり,ホウレンソウの雄株において性決定遺伝子が座乗する染色体対(XおよびY染色体)の片方には(Y染色体)には組換えが抑制された雄特異的領域があると理解できる. 雄特異的領域を部分的にカバーする21個のクローン整列化を行った(BACコンティグの構築).さらに,当該BACクローンの末端配列を起点してゲノムをーキングを試みたが,反復配列に阻まれてBACコンティグを僅かに伸長させることしか出来なかった. 一方,X染色体における雄特異的領のカウンターパート領域のポジショナルクローニングするために,雌株と間性株とのF2交雑集団を用いて当該領域に座乗する分子マーカーの作成を試みた.その結果,この領域に11個の分子マーカーが開発された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H23年度の解析を通じて,ホウレンソウの雄株において性決定遺伝子が座乗する染色体対(XおよびY染色体)の片方には(Y染色体)には組換えが抑制された雄特異的領域がある可能性を明らかにした.さらには,雄特異的領域を部分的ながらカバーするBACクローンを揃えて整列化まで達成した. さらには,新学術領域「ゲノム支援」からの研究支援を得て,雄特異的領域のBACクローン7個(約600kb)の塩基配列解析にも着手しているので,当初の計画よりも研究が進展したと評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
ホウレンソウの雄株において性決定遺伝子が座乗する染色体対(XおよびY染色体)には異型性が無いことが古くから知られている.つまり,ホウレンソウの性染色体は常染色体に近く,進化的には初期段階にあると考えられる.さらに,本研究からホウレンソウのY染色体には組換えが抑制された雄特異的領域が存在する可能性が示されたことを踏まえて,今後はY染色体における雄特異的領域とX染色体における雄特異的領域のカンターパート領域の構造の解析を通じて性染色体成立の初期過程の解明に取り組む. そのために,当該領域に座乗する新規AFLPマーカーの開発およびこのマーカーを用いてこの領域をカバーするBACクローンコンティグの作成と伸長をさらに進めていく.また,雄特異的領域のBACクローン7個(約600kb)の塩基配列解析も行い,遺伝子の探索を行うことを予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ホウレンソウのY染色体における雄特異的領域とX染色体における雄特異的領域のカンターパート領域に座乗する新規AFLPマーカーの開発,BACクローン選抜およびコンティグ作成に必要な消耗品購入費に充てる. さらに,研究報告旅費および投稿論文校閲費にも研究費を充てることを予定している. 平成23年度の研究実施過程において,実験手法の効率化によって当初予算よりも低い金額で目的に到達できたために未使用額が発生した. 平成24年度は実験補助員を雇用して当該研究課題を遂行することを計画しており,当該未使用額は実験補助員の人件費に充てる予定となっている.
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Research Products
(4 results)