2011 Fiscal Year Research-status Report
人工マイクロRNAを介したダイズの高度な遺伝子制御系の開発とその利用
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23580002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 哲也 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70374618)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ダイズ / miRNA / amiRNA / 形質転換 / アグロバクテリウム / 貯蔵タンパク質 |
Research Abstract |
ダイズにおける遺伝子の特異的かつ効率的な機能解析を行うため人工マイクロRNA(artificial miRNAs, amiRNAs)による遺伝子制御系の構築を試みた。最初に,amiRNAsを効率的に行うためのフレームとなる内在のmiRNAを選定した。Pre-miRNAsのサイズ,二次構造およびそれらpre-miRNAsの発現部位の情報を基準に,gma-miR159aおよびgma-miR168を選定した。これらのmiRNA配列を含むpre-miRNAsのcDNAをクローニングするため,葉組織および未熟種子組織からRNAを抽出しRT-PCRを行った。 また,種子組織特異的にamiRNAを行うため,β-コングリシニンのサブユニット遺伝子の一つであるGlyma20g28650遺伝子のプロモーター領域の約2.2 kpbの下流に上述したgma-miR159aおよびgma-miR168のpre-miRNAsに相当するcDNAをつなぎ合わせた発現ベクターを構築した。さらに,amiRNAを行うβ-コングリシニン遺伝子の標的配列の設計を行った。ダイズゲノムデータベースから,3種類存在するβ-コングリシニンのサブユニット遺伝子のパラログを検索した。その結果,データベース上に合計6つの遺伝子の存在を確認した。そこで,これらの遺伝子に共通する配列を選定し,内在miRNA領域と入れかえた。 上記の発現ベクターをアグロバクテリウムEHA105株へ導入し,この菌体を介してダイズの形質転換実験を行った。その結果,独立した複数のT1植物体を得ることに成功した。このことから,構築した発現ベクターは形質転換体の作出に大きな影響をもたらすことなく利用できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開始当初,発現ベクターの構築に相当な時間を要した。その理由は,標的とする遺伝子に対してamiRNAを形成させる配列の選定が煩雑であることにあった。すなわち,内在のmiRNAにおける二次構造を含めた重要な基本構造を残しつつ,標的とする遺伝子の特異的な配列に入れかえるためのベクターを設計することにもっとも時間を費やした。しかしながら,形質転換実験において一度に大量の外植片を準備するなどの処置を取ることによって初期の遅れを取り戻すことができた。その結果,全体としてのスケジュールをうまく調整することができた。 また,その後の形質転換体の解析において,形質転換体を養成できる培養室が共通施設であり,解析対象となる個体数が制限されていることもあり,本件については順次行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度において,形質転換実験は終了しているため,作出した個体の解析を進めていく。できる限り多くの自殖を繰り返し速やかに世代を進めることで導入遺伝子を固定化した個体を育成する。加えて,導入遺伝子を固定化した個体については,サザンブロット解析を通して導入遺伝子のコピー数等を推定する。さらに,種子組織において各種解析等を行い,設計したamiRNAの効果を確認する。具体的には,未熟種子においてRNAを抽出し,標的遺伝子の発現解析を行う。また,同じく未熟種子において低分子RNAを抽出し,これらにおいて標的遺伝子に由来するsiRNA産生の確認を行う。 本研究において標的としている遺伝子は貯蔵タンパク質をコードする遺伝子であるため,完熟種子から貯蔵タンパク質を抽出し,それらのSDS-PAGE解析を通して標的となる貯蔵タンパク質の増減を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在の研究の進捗状況および次年度の研究に大きな変更はなく,研究費使用計画通り執行できると考えられる。 また,23年度未使用金については,平成23年に実施した試薬・消耗品の支払いに使用する。
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Research Products
(1 results)