2012 Fiscal Year Research-status Report
人工マイクロRNAを介したダイズの高度な遺伝子制御系の開発とその利用
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23580002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 哲也 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70374618)
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Keywords | ダイズ / マイクロRNA / 貯蔵タンパク質 / 機能性成分 / サポニン |
Research Abstract |
前年度から進めている人工マイクロRNA(amiRNA)を介したダイズ種子貯蔵タンパク質遺伝子の発現制御とその標的遺伝子のノックダウン個体を通してタンパク質を含む窒素源の動態を解析した。最初に,本研究で作出した形質転換体において標的遺伝子の発現解析を行った。その結果,標的遺伝子の発現は対象個体における発現レベルの1割程度にまで低下していることが明らかとなった。加えて,この抑制の程度は植物体内で産生されるamiRNAの量に依存していることも明らかとなった。これら一連の結果は,ダイズゲノム内における標的遺伝子の発現を効率的に抑制することに成功したことを示している。よって,本研究においてダイズにおけるamiRNAを介した遺伝子発現制御系を確立した。 また,これら標的遺伝子の翻訳産物となる貯蔵タンパク質のSDS-PAGEならびにイムノブロット解析を行った。その結果,標的とする貯蔵タンパク質の蓄積量が大きく低下していることが明らかとなった。一方,元素分析器を用いて種子における窒素含量を測定したところ貯蔵タンパク質が大きく減少するにも関わらずノックダウン個体と対象個体の間には差異がないことが明らかになった。このことから,標的とした貯蔵タンパク質を構成していた窒素源が他の形態(他のタンパク質もしくは遊離のアミノ酸など)をとって種子に蓄積していることが示唆された。 さらに,本研究において確立したamiRNAの遺伝子発現制御系を利用してダイズ種子に蓄積する機能性成分の一つDDMPサポニンの糖転移酵素をコードしていると考えられる遺伝子のノックダウンを試みた。現在,T1個体を養成中であり,これらの個体において目的のコンストラクトがダイズゲノム内に挿入されていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導入する遺伝子の構築は標的配列を含むプライマーを用いたPCRを介して行うため,簡便かつ迅速に発現ベクターを準備することができた。加えて,一定の形質転換効率を維持した状態で形質転換体を作出できたこともあり,解析を行うための十分な材料を確保することができた。また,形質転換体の導入遺伝子の挿入形態および遺伝子の発現解析といった基本的な解析は本研究予算で購入した機器を用いることで効率的に進めることができた。これらの点が予定していた期間内に所期の目標到達を可能にした。 一方,形質転換体を養成できる培養室が共通施設ということもあり,本研究の進行の制限要因となっていた。そこため,随時連続的に材料を養成することでこの制限を回避する工夫をした。
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Strategy for Future Research Activity |
解析に必要とする材料はすべて確保した。さらに,作出した形質転換体の導入遺伝子の確認も行った。今後は,これらの材料においてより詳細な解析を進めていく。 貯蔵タンパク質遺伝子を標的にしたamiRNA制御系につていは,貯蔵タンパク質が減少するにも関わらず対象個体との間において窒素含有量の変化が認められなかったことから,その要因を精査する。加えて,amiRNA制御系において補填された窒素化合物が蓄積している細胞内小器官を特定することでその窒素化合物の形態を推定する。当面,タンパク質および遊離のアミノ酸の両方を想定して解析を進める。 DDMPサポニンの配糖化に関連すると考えられるamiRNA制御系については,遺伝子の発現解析を進めると同時に完熟種子におけるDDMPサポニンの分離・定量解析を行い,標的とした遺伝子がDDMPサポニンの配糖化に関与していることを明らかにする。 これらの異なる2種の標的遺伝子の制御系の解析を通して,本研究において確立した遺伝子制御系が標的遺伝子に対して高い抑制効果を持つことを実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在の研究進捗状況を考慮して,次年度の研究に大きな変更はなく研究費を計画通りに執行できると考えられる。
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Research Products
(5 results)