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2013 Fiscal Year Research-status Report

栽培ギクの起源の解明

Research Project

Project/Area Number 23580008
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

谷口 研至  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10163627)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 草場 信  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20370653)
KeywordsChrysanthemum / 栽培ギクの起源 / NCED3a / 同質倍数体
Research Abstract

本課題では分子マーカーによる遺伝的多型から、栽培ギクの起源の解明を目指すものであり、本年度は予定の成果以上に進み、本研究の目的である栽培ギクの起源に関して明らかにすることができた。
1)多型解析による祖先種の推定:前年度までに解析した遺伝子のうちNCED3a遺伝子はすべての倍数体種においてキメラ遺伝子より構成されており、祖先野生種を探る非常に有用な遺伝子であることが確かめられた。そこで、本年度はこの遺伝子について、さらに個体数を増やし、栽培ギク10品種、46ハプロタイプの比較を行った。黄花シマカンギク群、白花リュウノウギク群、栽培ギクの各特異的相同断片の平均的割合はそれぞれ36%、15%、22%であった。これらの各相同断片のうち、シマカンギクとリュウノウギク群では、日本型が約75%、中国型が25%を占めていた。日本型リュウノウギク群はノジギクの相同断片が品種間で幅広く見られた。一方、栽培ギク3品種で日本産サツマノギク、2品種で日本産イソギクの相同断片を多く含んでいた。以上の結果より、栽培ギクの起源について、二段階で現代の栽培ギクが作成されたと推定された。すなわち、中国のシマカンギクとリュウノウギク群の雑種化により原始的栽培ギクが作成され、その後日本のキクタニギクあるいは日本型リュウノウギク群が交配されることにより現代の栽培ギクが成立したと考えられる。そう考えると高い割合の日本型野生種の相同断片を含むことが無理なく考えられる。
2)栽培ギクの起源種の出来方(キク属倍数体種の染色体の分配様式)を明らかにするために、交雑による四倍体F1 雑種の子孫の分離を調べた。CCD4a遺伝子ではナカガワノギクの選択的分配、ワカサハマギクのランダム分配が確かめられた。さらに、人為的に合成した同質四倍体と部分異質四倍体のF1 雑種の子孫をそろえた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本年度は予定の成果以上に進み、本研究の目的である栽培ギクの起源に関して明らかにすることができた。
1)多型解析による祖先種の推定
キク特異的反復DNA24 種、rDNA および遺伝子4 種について解析を進めてきたが、栽培ギクにおいてNCED3a遺伝子を除き祖先野生種のハプロタイプの消失が確かめられた。NCED3a遺伝子はキメラ遺伝子であることが明らかになり、祖先野生種のDNA相同断片をよく保存されていることが確かめられた。そこで解析の中心をこの遺伝子に絞り、解析個体数を増やすことにより比較を行った。そこで予定以上に進み、栽培ギクの起源について推定することが可能となった。
新たに見つけた遺伝子の多型について前年度と同様な解析を行い、祖先種推定の補強を続ける。
2)染色体の分配解析からの起源種の出来方の推定
前年度作成のナカガワノギクとワカサハマギクのF1雑種子孫の遺伝的分離を調べ、分配様式を明らかにした。人為四倍体と新たに追加した人為部分異質四数体のF1雑種子孫を得て現在解析中である。人為六倍体を用いた六倍体栽培ギクのBC1雑種子孫に関しては、人為六倍体を現在作成中である。

Strategy for Future Research Activity

1)多型解析による祖先種の推定
すでに目的はほぼ達成されているので、さらに種、個体数を増やし、栽培ギクと野生種のそれぞれの対立遺伝子の比較を行い、栽培ギクの起源に関する補足を行う。
2)染色体の分配解析からの起源種の出来方の推定
人為同質四倍体と予定より追加した人為部分異質四倍体のF1子孫の遺伝的分離を調べ、遺伝的分配システムの検証結果からどのようにして栽培ギクができたかを明らかにする。そのことを考慮して祖先倍数性を推定する。人為六倍体を現在作成中であり、予定に間に合わない可能性が出てきたが、すでに明らかになってきている本研究の栽培ギクの起源に関して大きな影響はないと考えられる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

最終年度に塩基配列の解析を大量に行う必要があり、今年度は極力節約した。
塩基配列の解析を行う。

  • Research Products

    (9 results)

All 2014 2013

All Journal Article (2 results) Presentation (6 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] カモメギクの葉形と頭状花はキクタニギクの変異に含まれる2014

    • Author(s)
      谷口研至・草場信・中田政司・門田裕一
    • Journal Title

      国立科博専報

      Volume: 49 Pages: 11-15

  • [Journal Article] NCED3a遺伝子からみたカモメギクとキクタニギクの系統関係2014

    • Author(s)
      谷口研至・本原宏志郞・草場信・中田政司
    • Journal Title

      国立科博専報

      Volume: 49 Pages: 17-22

  • [Presentation] 自家和合性キクタニギク:キク属分子遺伝学研究のためのプラットフォーム2014

    • Author(s)
      中野道治・谷口研至・増田優・草場信
    • Organizer
      園芸学会
    • Place of Presentation
      筑波大学
    • Year and Date
      20140329-20140330
  • [Presentation] キクを種子からつくる2014

    • Author(s)
      谷口研至・ 中野 道治 ・草場信
    • Organizer
      園芸学会
    • Place of Presentation
      筑波大学
    • Year and Date
      20140329-20140330
  • [Presentation] 皇居にのみ現存するカモメギクの正体2014

    • Author(s)
      中田政司・谷口研至・上原歩・岩科 司・本原宏志郞・草場信・門田裕一
    • Organizer
      日本植物分類学会
    • Place of Presentation
      熊本大学
    • Year and Date
      20140320-20140323
  • [Presentation] 雑種形成による同質倍数性ゲノム進化過程の解析-キク属植物のNCED3aとNCED3b 遺伝子の挙動の違い-2013

    • Author(s)
      本原宏志郎・山根虹子・谷口研至・韓晶・中田政司・世羅徹哉・井上尚子・
    • Organizer
      育種学会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学
    • Year and Date
      20131012-20131013
  • [Presentation] NCED3a 遺伝子から見た栽培ギクの起源2013

    • Author(s)
      本原宏志郎・谷口研至・韓晶・山根虹子・中田政司・世羅徹哉・井上尚子・陳瑞陽・納海燕・マムテイミン・陳力・梁国魯・李先源・鄧紅紅・草場信
    • Organizer
      園芸学会
    • Place of Presentation
      岩手大学
    • Year and Date
      20130920-20130922
  • [Presentation] 外来キクタニギクによる固有種リュウノウギクの遺伝的汚染が始まっている?!2013

    • Author(s)
      中田政司・本原宏志郞・山根虹子・谷口研至
    • Organizer
      植物地理・分類学会
    • Place of Presentation
      福島大学
    • Year and Date
      20130601-20130602
  • [Book] 栽培植物の自然史II-東アジア原産有用植物と照葉樹林帯の民族文化2013

    • Author(s)
      谷口研至(山口裕文編)
    • Total Pages
      139-158
    • Publisher
      北海道大学出版会

URL: 

Published: 2015-05-28  

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