2013 Fiscal Year Annual Research Report
アポスポリー植物におけるASGR染色体の分子細胞学的解析
Project/Area Number |
23580011
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
秋山 征夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター畜産飼料作研究領域, 主任研究員 (70403160)
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Keywords | アポミクシス / アポスポリー / 染色体 / FISH / ギニアグラス / 国際情報交換 米国 |
Research Abstract |
アポミクシス(無性生殖)の育種利用は長らく望まれているが、主要作物における利用成功例はない。近年、アポミクシスの一様式であるアポスポリーにおいては、性を制御する性染色体のように、アポスポリーを制御する特異的染色体(ASGR染色体)が発見され、この染色体の解析がアポミクシス研究において重要と考えられている。本研究はギニアグラスのASGR染色体について、3つのアポスポリー特異的Expressed sequence tag(EST)のマッピング、および他のアポスポリー植物におけるASGR染色体との比較解析を行うことを目的とした。 1,ギニアグラスのバクテリア人工染色体(BAC)ライブラリーから、3つアポスポリー特異的ESTを含むBACをスクリーニングし、単離されたBACをプローブに用いて蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)解析を行った。その結果、1つのアポスポリー特異的ESTは反復配列のためにマッピング不可能だったが、2つはASGR以外に座乗しており、アポスポリーを引き起こす遺伝子ではないことが示された。 2,FISH解析によって、ギニアグラス由来のASGR特異的BACはPennisetum属のアポスポリー植物のASGRに座乗し、また、Pennisetum属由来のASGR特異的BACはギニアグラスのASGRに座乗していることが明らかとなった。さらに、Pennisetum属のASGR特異的マーカーであるASGR-BBMLがギニアグラスのアポスポリー系統で検出された。これらの結果は、ギニアグラスとチカラシバ属植物のASGRの相似性を示し、“ASGRの獲得によってアポスポリーが伝搬する”という仮説を支持する。よって、主要作物におけるアポミクシスの育種活用を実現するために、ASGRの解明と利用が重要であることが示唆された。
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