2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580012
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
吉田 均 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所 稲研究領域, 主任研究員 (30355565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 伸之介 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター 作物開発研究領域, 研究員 (50391438)
矢頭 治 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, 研究調整役(北陸担当) (50355575)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 閉花受粉性 / イネ / 開花 / 花器官 / 鱗被 / 変異体 / 内穎 / 外穎 |
Research Abstract |
本研究では、内・外穎の鉤合の解除、鱗被の膨潤、花糸の伸長、葯の開裂、柱頭の展開といったイネの開穎装置を構築・統御する遺伝的メカニズムを明らかにすることを目的とする。spw1-clsは鱗被のアイデンティティ喪失により、開穎できなくなった変異体(閉花性変異体)であるが、spw1-clsとは異なるメカニズムによる変異体を探索した。新たな閉花性変異体候補29系統の閉花性を再評価し、8系統を新規閉花性変異体として同定した。これらの変異体のうち1系統ではspw1-clsと同様に鱗被の伸長が観察され、閉花受粉性を示した。解析の結果、同変異体はspw1の新規ミスセンスアリルであることが明らかとなったので、既報のアリルをspw1-cls1、新規アリルをspw1-cls2と呼ぶこととした。残りの7系統では鱗被のアイデンティティは変化しておらず、また、オーキシン処理による鱗被の膨潤も観察されたため、spw1-clsとは異なり、鱗被形成以外のステップにおける異常によって閉花性となったものと考えられた。これらの新規変異体のうち、「北陸193号変異体」の原因遺伝子は第1染色体上にあるものと推定した。さらに、TMT-C27変異体についてもマッピング集団作成用の交配を行った。一方、MADSボックス型転写因子をコードするOsMADS32遺伝子は花器官形成時期に発現するため、RNAiによって発現を抑制し、開穎装置形成における機能を探った。OsMADS32の発現抑制体では、内穎が横方向に拡大して外穎との鉤合部が消失するとともに、鱗被の伸長および増加、花柱の増加などが観察された。OsMADS32発現抑制体の表現型はmfo1/osmads6変異体と類似しており、同遺伝子はMFO1遺伝子と協調して機能する新たな開穎装置形成遺伝子である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画に従い、花器官の形態観察およびオーキシン処理を行い、今後の研究対象とする閉花性変異体を8系統に絞り込んだ。計画外の成果としては、spw1-cls2は新規閉花受粉性変異体として、交雑抑制技術開発における利用が期待される。spw1-cls2以外の7系統は、鱗被形成以外のステップに異常を生じた閉花性変異体として、今後の有用な研究材料となる。7系統のうち、1系統について原因遺伝子のラフマッピングを完了し、他の1系統についてもマッピング用の交配を行った。spw1-cls1のサプレッサーまたはエンハンサー変異体を得るため、spw1-cls1をさらに変異原処理し、M2種子を得た。さらに計画外の成果として、OsMADS32遺伝子を新たな開穎装置形成遺伝子として同定した。以上、研究は計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、新規閉花性変異体の形態観察、北陸193号変異体およびTMT-C27の原因遺伝子のマッピングを行う。特に、193号変異体については、より詳細なマッピングをめざす。spw1-cls2変異の分子基盤を確認するため、酵母ツーハイブリッド法により、パートナータンパク質(OsMADS2, OsMADS4)との相互作用を解析する。また、mfo1/osmads6, lhs1/osmads1などの開穎装置形成変異体とRNAi法を組み合わせることにより、開穎装置形成におけるOsMADS32遺伝子の機能をさらに明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり、物品費・旅費・謝金・その他に使用する。なお、次年度使用額768,513円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] LAX PANICLE2 of rice encodes a novel nuclear protein and regulates the formation of axillary meristems2011
Author(s)
Tabuchi H., Zhang Y., Hattori S., Omae M., Shimizu-Sato S., Oikawa T., Qian Q., Nishimura M., Kitano H., Xie H., Fang X., Yoshida H., Kyozuka J., Chen F. and Sato Y
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Journal Title
Plant Cell
Volume: 23(9)
Pages: 3276-3287
DOI
Peer Reviewed
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