2013 Fiscal Year Annual Research Report
アントシアニン合成制御の分子基盤:新規抑制因子の制御機構と生理機能の解明
Project/Area Number |
23580014
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Research Institution | 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所 |
Principal Investigator |
小田 賢司 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所, その他部局等, 専門研究員 (10344409)
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Keywords | イネFOXシロイヌナズナ / アントシアニン / F-boxタンパク質 / カルコン合成酵素 |
Research Abstract |
アントシアニンは植物のさまざまな組織に含まれる主要天然色素である。植物体内のアントシアニン量は、合成酵素遺伝子の欠損や転写制御により抑制されることが変異体の解析等により明らかにされてきた。イネ由来完全長cDNAを過剰発現する形質転換シロイヌナズナの大規模ライブラリに見出されたアントシアニン抑制変異体R10933は、合成酵素遺伝子群の発現量に影響を及ぼさない優性変異体であり、新規のアントシアニン変異体と考えられた。R10933の変異形質は、イネのF-box遺伝子の過剰発現により引き起こされる。このF-boxタンパク質と合成酵素タンパク質を酵母内で発現させたところ、カルコン合成酵素(CHS)と相互作用を示した。in vitro pull down assayによっても両者の結合を検出することができた。さらに、R10933ではCHSタンパク質が極端に抑制されていることが明らかになった。これらの結果から、R10933ではCHSタンパク質の抑制によりフラボノイドが制御されていると考えられた。また、このF-box相同遺伝子の発現をシロイヌナズナで調べたところ、フラボノイド合成が抑制される、環境ストレス(強光、低温、高ショ糖)条件下から通常条件下への復帰時や種子成熟時に、CHS遺伝子の発現低下に合わせて一過的に誘導されることが明らかとなり、フラボノイド合成の抑制に生理条件下で機能していると考えられた。一方、イネのF-box遺伝子をトマトで発現させると胚軸のアントシアニンの抑制が観察されるものの、アントシアニンを多量に蓄積するタバコの花弁では十分な色の変化が認められておらず、分子育種への応用にはさらなる工夫が必要と考えられる。
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Research Products
(2 results)