2011 Fiscal Year Research-status Report
イネ胚乳シンシチウム形成と細胞化機構からみた受精直後の冷温・高温感受性
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23580015
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
斎藤 靖史 岩手大学, 農学部, 准教授 (70287100)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 胚乳 / イネ / シンシチウム / 細胞化 |
Research Abstract |
開花期の冷温は受精を阻害するため、収量の低下を招くことはよく知られている。しかし、無事に受精が行われても、胚乳発達初期過程の時期の冷温は発育停止籾数の増加を招くといわれている。そこで本研究では、開花後の冷温と種子発達との関連について調べることにした。イネ品種"どんぴしゃり"を用いて解析を行った結果、開花後0~1日後に冷温処理を行うと子房の伸長が著しく阻害を受け、観察を行った開花後7~8日後までは目立った伸長は見られず、伸長が停止しているものと考えられた。しかし、開花後2日から冷温処理を行った場合は子房の伸長阻害が緩和された。冷温処理3、5,及び7日後の伸長阻害を受けた子房の組織切片を観察したところ、シンシチウムを形成した胚乳が観察されたことから、これらのサンプルは細胞化以前の胚乳発達過程で阻害を受けているものと考えられた。次に、耐冷性品種として知られている"はやゆき"を用いて開花日の夕刻に冷温処理を行った結果、非処理サンプルに比べて子房の伸長速度の低下は見られたものの、子房の伸長は止まらず、開花後7日には、子房サイズが非処理サンプルのサイズと同等となった。よって、"はやゆき"においても受精後の子房伸長の冷温による阻害はみられるものの、その効果は"どんぴしゃり"よりも少なく、開花後8日には回復するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネ胚乳発達初期の受精後の冷温感受性が細胞化の時期と一致していることが判明し、細胞化が冷温感受性である可能性が強く示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、冷温処理によるシンシチウム特異的発現を示す遺伝子の発現パターンの変化や、冷温のタイミング、期間を変化させた場合のシンシチウム形成、細胞化過程がどうなるのか、さらに胚乳形成初期における高温の影響について研究を推進する予定である。また、胚乳形成初期に特異的発現を示すF-box等遺伝子の探索とそれらの機能解析についても引き続き研究を続ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養土、遺伝子解析等試薬、学会参加発表旅費、実験補助者謝金等を予定。
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Research Products
(5 results)