2013 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳シンシチウム形成と細胞化機構からみた受精直後の冷温・高温感受性
Project/Area Number |
23580015
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
斎藤 靖史 岩手大学, 農学部, 准教授 (70287100)
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Keywords | 胚乳 / シンシチウム / イネ / subtilisin / KRP / CDK |
Research Abstract |
イネの胚乳発達は温度による影響を受けやすい。低温では胚乳発達初期の胚乳核増殖が遅れ、高温では、速度が向上するが、種子の品質が低下する。よって寒冷による米生産量の減少、温暖化による米の品質低下などが問題となる。このような気候変動に対して安定した米の生産量、品質を維持するために、イネ胚乳発達初期のメカニズムの解明は重要である。しかし、胚乳発生初期の形態的変化の研究と比較して、その分子機構の研究は遅れており、胚乳発達初期で特異的に発現する遺伝子に関する情報は驚くほど少ない。我々はイネ胚乳発達初期に発現する遺伝子の探索を行った結果、OsSub53, OsSub63の同定に成功した。イネゲノムに63種類存在するsubtilisin-like protease遺伝子の内、OsSub53とOsSub63の2種の発現が、開花後1~9日の胚乳で高いことをRT-PCR法、in situ hybridization法により明らかにした。OsSub53とOsSub63をGFP融合タンパク質として発現させたところ、これらは細胞外と思われる領域に強い蛍光が観察された。OsSub53とOsSub63のN末端に存在するシグナル配列と思われるアミノ酸配列をGFPタンパク質のN末端に融合させ発現させたところ、同様の領域での蛍光が観察された。RNAレベルで発現が確認されたOsSub53とOsSub63が実際にタンパク質として発現しているかどうかについて調べるため、ウエスタンブロットによる解析を行った結果、OsSub53タンパク質は開花後5~7日においてそのタンパク質蓄積量が多いことがわかった。バンドから推定される分子量はcDNA配列から推定される分子量とほぼ同じであることから、OsSub53タンパク質は自己分解を引き起こさない可能生が考えられた。subtilisin-like proteaseのあるものはプログラム細胞死に関わるcaspaseのような機能をもつこともあり、また、イネ胚乳発達過程においてもプログラム細胞死に関する報告もあることから、これらの過程に対する機能が類推された。
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Research Products
(4 results)