2011 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析による水稲の潮風害発生機構および抵抗性発現機構の解明
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23580017
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森 静香 山形大学, 農学部, 准教授 (30504302)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 潮風害 / 水稲 / ケイ酸 / メタボローム / イネ / 気象災害 |
Research Abstract |
1.水稲品種「はえぬき」の苗を用いて、葉への塩付着害と根からの塩吸収害の被害程度が新鮮重の視点から同じ程度になる被害発生方法を検討し、その方法により塩吸収害耐性系統(2系統)と山形県の作付品種(6品種)について、塩付着害・吸収害両者の被害程度の品種間比較を行った。また、水稲品種「つや姫」と「ササニシキ」について被害発生直後の主要な代謝物質の動態を測定した。その結果、苗段階では塩吸収害耐性とされる系統においても被害が発生し、各系統・品種間で被害程度に差がなかった。また、両塩害では主要な代謝物質で変動のあった物質の数や成分量が異なるものがあり、両塩害間で水稲苗体内の反応に違いがあると考えられた。24年度は、解析途中である代謝物質の解析を中心に行う。2.ポット栽培条件下の「はえぬき」において、登熟全期間の中ごろにあたる糊熟期で、最も塩分付着害によって低収した。また、圃場試験において、山形県の作付品種(6品種)でも同様に最も糊熟期で塩分付着害により低収し、水稲は糊熟期が最も塩分付着害への感受性が強いことが明らかとなった。24年度は同様の圃場試験を行い、主要な代謝物質の測定は品種を限定してポット試験を行う。3.ポット栽培条件下の「はえぬき」において、稲体のケイ酸含有率の違いと糊熟期の塩分付着害の有無による主要な代謝物質の動態の違いについて測定した。その結果、塩分付着害を与えなかったものと比べて、被害を受けたものでいくつかのアミノ酸が被害後8時間に増加した。しかし、植物体内のケイ酸含有率の違いによる差はなかった。24年度はケイ酸含有率をさらに高めた条件で同様の試験・解析を行う。4.ポット栽培条件下で水稲の葉や穂の表面をコーティングして保護することにより、塩分付着害を軽減する可能性がある資材を確認した。24年度は再度、資材の濃度・量・散布時期を含めて検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
栽培試験に関しては計画どおり進んでいるが、メタボローム解析については測定・解析に時間を要するため、品種数・試料数を限定した測定・解析になっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.23年度に水稲品種「はえぬき」の苗を用いて、葉への塩付着害と根からの塩吸収害の被害程度が新鮮重の視点から同じ程度になる被害発生方法を検討し、その方法により塩吸収害耐性系統(2系統)と山形県の作付品種(6品種)について、塩付着害・吸収害両者の被害程度の品種間比較を行ったが、それらの代謝物質の解析が途中であるため、24年度についてはその解析を継続して行う。2.23年度にポット栽培条件下の「はえぬき」、ならびに圃場試験の山形県の作付品種(6品種)において、登熟全期間の中ごろにあたる糊熟期で、最も塩分付着害によって低収することを確認した。24年度は同様の圃場試験を行い年次間の違いを確認するとともに、主要な代謝物質の測定は品種を限定してポット試験を行う。3.23年度にポット栽培条件下の「はえぬき」において、稲体のケイ酸含有率の違いと糊熟期の塩分付着害の有無による主要な代謝物質の動態の違いについて測定し、塩分付着害を与えなかったものと比べて、被害を受けたものでいくつかのアミノ酸が被害後8時間に増加したが、植物体内のケイ酸含有率の違いによる差を確認できなかったため、24年度はケイ酸含有率をさらに高めた条件で同様の試験・解析を行う。また、ケイ酸含有率を高めるために用いたケイ酸質資材の施用後の形態の変化について解析途中であるため、継続して解析を行う。4.23年度にポット栽培条件下で水稲の葉や穂の表面をコーティングして保護することにより、塩分付着害を軽減する可能性がある資材を確認した。24年度は再度、資材の濃度・量・散布時期を含めて検討を行う。25年度以降は24年度の結果によって微調整を行い、ほぼ当初の計画どおり圃場試験を中心に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画どおりの予算額を計画した費目の範囲内で使用する。
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