2012 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析による水稲の潮風害発生機構および抵抗性発現機構の解明
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23580017
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森 静香 山形大学, 農学部, 准教授 (30504302)
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Keywords | 潮風害 / 水稲 / ケイ酸 / メタボローム / イネ / 気象災害 |
Research Abstract |
1.23年度に塩吸収害耐性系統(2系統)と山形県の作付品種(6品種)の水稲苗について、塩付着害と根からの塩吸収害の被害程度を新鮮重により検討し、苗では塩吸収害耐性とされる系統でも被害が発生し、系統・品種間で被害程度に差がないが、両塩害では代謝物質で変動のあった物質の数や成分量が異なるものが確認された。しかし、24年度ではこれらの代謝物質の解析が遅れており、新たな結果が得られていないため、25年度も両塩害間で水稲苗体内の反応に違いがあるか代謝物質の解析を中心に行う。 2.山形県の作付品種(4品種)における塩分付着害の被害程度を登熟ステージ別に検討したところ、23年度の結果と同様に最も糊熟期で塩分付着害により低収し、水稲は糊熟期が最も塩分付着害への感受性が強いことがわかった。また、圃場試験と同様の4品種におけるポット試験で、塩分付着害により代謝物質に変化があるか試験を行ったが、代謝物質の解析については25年度に行う。 3.ポット栽培条件下の「はえぬき」において、稲体のケイ酸含有率の違いと糊熟期の塩分付着害の有無による主要な代謝物質の動態の違いについて測定した。その結果、ケイ酸無施用では塩分付着害を与えなかったものと比べて、被害を受けたものでいくつかのアミノ酸が被害後4および8時間に増加が確認された。本試験での植物体内のケイ酸含有率の違いによる解析については25年度に行う。 4.23年度にポット栽培条件下で水稲の葉や穂の表面をコーティングして保護することにより、塩分付着害を軽減する可能性があることが確認された資材について、資材の濃度・量・散布時期の違いによる塩分付着害の軽減程度を検討した。その結果、被害を受ける前日の散布で資材濃度が高いほど被害を軽減できる可能性があった。しかし、軽減程度は小さく、雨天による資材の流亡がみられたため、他資材を探索する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
栽培試験に関してはおおむね計画どおり進んでいるが、メタボローム解析については測定・解析に時間を要するため、23年度から遅れており24年度より品種数・試料数を限定しながら行っているが、23および24年度の2カ年分の測定・解析が進んでいない状況のため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.23年度に水稲品種「はえぬき」の苗を用いて、葉への塩付着害と根からの塩吸収害の被害程度が新鮮重の視点から同じ程度になる被害発生方法を検討し、その方法により塩吸収害耐性系統(2系統)と山形県の作付品種(6品種)について、塩付着害・吸収害両者の被害程度の品種間比較を行ったが、それらの代謝物質の解析が途中であるため、24年度に引続き、25年度についてもその解析を継続して行う。 2.圃場試験の山形県の作付品種(4品種)において、登熟全期間の真ん中ごろにあたる糊熟期で最も、塩付着害によって低収することを確認した。これは、23年度の結果と同様であった。また、主要な代謝物質の測定のため、圃場試験と同様の品種についてポット試験を行い塩付着害の有無と代謝物質の変動を確認するため解析を行っているが、解析途中であることと再現性確認のため、25年度も引き続き同様のポット試験と解析を行う。 3.24年度にポット栽培条件下の「はえぬき」において、稲体のケイ酸含有率の違いと糊熟期の塩付着害の有無による主要な代謝物質の動態の違いについて測定し、塩分付着害を与えなかったものに比べて、被害を受けたものでいくつかのアミノ酸で被害後4~8時間に増加が確認されたが、ケイ酸含有率の違いによる解析が途中であり、再現性確認も含め25年度も引き続き同様の試験と解析を行う。 4.塩付着害を軽減する効果がある植物体をコーティングする資材について、新たな資材をポット栽培条件下で検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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