2011 Fiscal Year Research-status Report
ソバアレルゲンとなる13Sグロブリンサブユニットの解析
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23580020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 朋之 (勝部 朋之) 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50224473)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ソバ |
Research Abstract |
ソバは他殖性・無限伸育性で脱粒・倒伏しやすいために主要穀類に比べ生産性(収量)が極めて低いものの、栽培生育期間が短く、やせ地・乾燥地などの不良環境下でも育ち、病害虫・雑草の害を受けにくい。また、血圧上昇を抑える作用のあるルチンを多く含み、バランスの取れたアミノ酸組成を有することから、その生産が改めて見直されている。一方、ソバは深刻なアレルギーを引き起こす場合があり、その原因物質(アレルゲン)を同定し取り除く研究が強く求められている。これまでに、主要な種子貯蔵タンパク質である13Sグロブリンのβ鎖(24kDa)等が主要アレルゲンとして同定された。また、IgE抗体との反応性の違いから、13Sグロブリンのサブユニット組成を変えることで、アレルゲン性を改善できる可能性が示唆された。さらには、13Sグロブリンのα鎖に挿入された反復配列の有無により、アレルゲン性との関連が指摘されているトリプシン消化性が異なることが明らかになった。そこで本研究では、13Sグロブリンの構造・組成変動を詳細に解析することにより、ソバ種子の優れた特性を損なうことなくアレルゲン性を低下させるための基礎的知見を得ることを目的とした。本年度は、約14万種のクローンからなるソバゲノムライブラリーをスクリーニングし、13Sグロブリン遺伝子を有するBACクローンを同定した。同定したBACクローンの一部について塩基配列を解読することで、その遺伝子構造を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
13Sグロブリンの構造・組成変動を解析するにあたり、最も基礎的かつ有益な情報である遺伝子塩基配列の網羅的解析を進めることができた。得られた情報ならびに今後解析予定の他のBACクローンの情報をあわせることで、13Sグロブリンサブユニットの多様性と遺伝的・栽培環境的な変動性を評価する上で、有用な知見になると判断されたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
塩基配列解読が未完了である他のBACクローンの解析を進める。さらにこの情報を基に、13Sグロブリンサブユニットの多様性と遺伝的・栽培環境的な変動性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、塩基配列解読に必要な物品、消耗品の購入に使用する。また、分析補助者への謝金等に使用する。さらに、ソバ品種・系統の栽培に必要な資材の購入に使用する。なお、平成23年度執行残額が生じたが、これは塩基配列解読手順を変更し丁寧に解析を進めたために起きた軽微な遅延のためであり、引き続き解析を進めていることから次年度に全て執行予定である。
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