2011 Fiscal Year Research-status Report
わが国西南暖地における食用カンナのバイオマス・デンプン生産性の解明と利用開発
Project/Area Number |
23580022
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 由徳 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (00093956)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 彰 高知大学, 自然科学系, 准教授 (00304668)
河野 俊夫 高知大学, 自然科学系, 教授 (60224812)
松川 和嗣 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (00532160)
田中 伸幸 (財)高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (40393433)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 食用カンナ / 作期 / バイオマス / デンプン / 利用開発 / 国際情報交換 / ベトナム |
Research Abstract |
高知県南国市の農家休耕水田において,早植区(4月15日植)と普通植区(5月16日植)を設け,台湾産赤系統(2倍体)(以下,台湾赤)と台湾産緑系統(3倍体)(以下,台湾緑)を植付けた(各処理区2反復).施肥量はa当たりにバーク堆肥400kg,苦土石灰15kg,N1.5kg,P2O51.3kg,K2O1.3kgとし,種イモを深さ約8cmで植付けた.収穫期(11月下旬)の草丈は2.6~2.8mで作期,品種による有意差はみられなかった.また,分枝数は台湾赤で4.9~6.3本/株,台湾緑で17.0~17.4本/株となり,品種間に有意差が認められたが,作期による有意差はみられなかった.収穫期におけるha当たり試算収量(生重)は早植区の台湾赤(地上部72t;根茎67t),台湾緑(同94t;同48t),普通植区の台湾赤(同94t,同68t),台湾緑(同87t,同54t)となり,根茎の生重は台湾赤で台湾緑に有意に優った.デンプン含有率は早植区27.0~32.5%,普通植区24.0~25.3%,デンプン収量(乾燥)は早植区3.0~3.2t/ha,普通植区2.2~2.6t/haとなり,両品種とも普通植区より早植区でそれぞれ高い傾向が見られたが,作期および品種間に有意差は見られなかった.食用カンナ茎葉部からは良質(Vスコア80点以上)のサイレージが得られ,これを肉用牛育成期90日間の粗飼料の一部に配合したところ,増体の向上,飼料消化率および飼料効率の上昇による環境負荷の低減,および飼料コストの削減が認められた。 食用カンナデンプンを15~45%小麦粉に配合したパスタは,小麦粉100%の基準パスタに比べて色調が暗く,食感が柔らかくなり,高い食味官能評価が得られた. 以上の他に,ベトナムを訪問し,食用カンナの栽培・利用に関する情報を収集し,意見交換を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿った栽培試験が実施でき,また,地上部のサイレージ化および根茎デンプンのパスタ麺への配合の可能性について明らかにできた.また,現在,世界で最も食用カンナデンプンを利用していると考えられるベトナムを訪問し,栽培の現状とデンプンの製麺利用についての情報収集を行い,現地の研究者と情報交換を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の結果を受けて,平成24年度には、現在保有している食用カンナ4系統のバイオマス・デンプン生産性,地上部のサイレージ品質,根茎デンプンの理化学的特性や成分組成の差異,デンプンの利用開発等について検討する予定である.また,中山間地への食用カンナの導入の可否を明らかにするために,予備試験的に標高400~6000mの中山間地帯の農家休耕田(棚田)への導入を試みる.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に、ベトナムにおけるデンプンの抽出・製麺工場の調査等が実現できなかったので、繰越額が発生した。当該繰越金は、次年度において同調査を行うために使用する。次年度(平成24年度)は、設備・備品の購入計画はない。サンプル植物体の成分分析、食品開発用の薬品類、ガラス器具類などの消耗品費、サイレージ品質の分析経費を申請する。成分分析やデンプン抽出、生育・収量調査補助(謝金)経費と学会での成果発表費についても申請する。
|
Research Products
(1 results)