2013 Fiscal Year Annual Research Report
CAM型光合成における解糖系及びミトコンドリア呼吸の関与について
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23580023
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野瀬 昭博 佐賀大学, 農学部, 教授 (80045137)
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Keywords | CAM / パインアップル / 解糖系 / 糖新生系 / 遺伝子発現 / 代謝中間体 / 制御 / 日変化 |
Research Abstract |
本年度は、パインアップルのCAM型光合成の日変化と解糖系の係わりを明らかにするために、8種類の解糖系酵素のmRNA発現の日変化とキャピラリー電気泳動質量分析法(CEMS)による代謝中間体の日変化について調査した。 調査した8種類の解糖系酵素のmRNA発現の日変化は、CAM型光合成の特性との関係から3種類のグループに分けることができた。ひとつは、解糖系方向の制御に関与するもので、従来から解糖系の律速部とされてきたヘキソキナーゼ(HK)、フルクトース1,6二リン酸ホスホトランスフェラーゼ(PFP)、ピルビン酸キナーゼ(PK)であった。特に、PKの発現増大は、パインアップルにおいて新たな夜間のCO2固定の存在を示唆するものであった。第2のグループは、糖新生系の反応に係ると考えられるものでグルコースリン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ホスホグリセリン酸キナーゼである。特に、GAPDHは、phase 3の後半に発現ピークを示した後、phase 4の始めに発現が急減し、その後は緩やかに発現が増大するという推移を示し、CAM型光合成において最大の謎である解糖系の昼夜逆転の制御に関与することを示唆する日変化を示した。第3のグループは、一日を通して高い発現レベルを維持するものでアルドラーゼとトリオースリン酸イソメラーゼであった。次にCEMSによる解糖系代謝中間体の日変化については、フルクトース1,6二リン酸含量がphase 1に上昇するものの一日を通して最も低く推移し、PFP発現レベルの低さと日変化に対応するものであった。また、パインアップルにおいては、HKにアイソザイム変異が存在していることが示唆された。 本事業の成果を日本作物学会第236回講演会(平成25年9月)で発表し、優秀発表賞を受賞した。
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Research Products
(1 results)