2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゲリラ豪雨による極短時間の冠水が水稲の中長期の成育に及ぼす影響
Project/Area Number |
23580025
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大江 真道 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (60244662)
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Keywords | 冠水 / 豪雨 / 水稲 / 収量 / イネ / 水温 / 冠水時期 / 冠水期間 |
Research Abstract |
目的:当該年度は冠水が生じる時期や地域の違いによって変動する要因として[冠水時期]、「冠水期間」「水温」の及ぼす影響やぞれぞれの関係に着目し、イネの成育に及ぼす影響について検討した。 方法:「分げつ盛期」と「幼穂分化期」の2期に冠水期間1日、4日、8日の異なる三つの冠水処理期間を設け、またそれぞれに「通常水温区」と「高水温区(通常水温に比べて約3℃高い)」の2水温区を設定した。 結果の概要:分げつの推移については、幼穂分化期の冠水で分げつの再増加という現象が認められた。成育後期の冠水による出穂期以降からの分げつの出現は前年においても観察されているが、この現象が高温によって強く促され、またその程度は冠水期間が長期になるほど大きかった。 収量については、穂長、1穂籾数、稔実歩合、1穂籾重、1株穂重、収穫指数ともに幼穂分化期の冠水で強く影響を受けて冠水期間が長いほど減少したが、冠水期間それぞれで見ると高温区ではさらに影響を強く受け、著しい減少が確認できた。なお、分げつ盛期と言う早い生育段階の冠水処理の収量への影響も冠水期間の増加とともに認められたが、幼穂分化期処理と同様に高温区での影響が大きく、とくに1株穂重、稔実歩合に影響が生じた。これらの影響は、高水温によって生じた根の活力(酸素吸収量による呼吸測定を活力とした)低下、また、前述の登熟期の高位節からの分げつの出現が影響すると考えている。 米粒品質については、全粒数に占める未熟粒の割合が高水温区で低くなったが、これを詳細に解析すると、全粒数と未熟粒割合には負の相関があり、高水温区における全粒数の減少が、一方では残存した粒への十分な炭水化物の供給をもたらしたものと考える。 なお、冠水での形態的適応、生理的適応については、節間形態、葉・稈・根系間通気組織連絡、根の生理機能の変動について、時期、期間、水温別に追って解析検討中である。
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