2011 Fiscal Year Research-status Report
3次元形状認識に基づく雑草埋土種子の同定技術とその自動化
Project/Area Number |
23580026
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小林 浩幸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター 環境保全型農業研究領域, 上席研究員 (70355329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 智子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター 環境保全型農業研究領域, 任期付研究員 (70531854)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 雑草種子 / 3次元形状 / 種子表面 / アマランサス属雑草 |
Research Abstract |
実態顕微鏡ライカマイクロシステムズM205Cと三谷商事SensiveMeasureを組み合わせ,雑草種子の表面の微細な3次元形状を観察できるシステムを構築した。 本研究で主な検討対象とするアマランサス属雑草は,既存の除草剤が効きづらく,乾燥した土壌条件に適応的な生態的特性を有しているため,転作田における畑作物栽培で急速に分布を広げ,各地で難防除雑草となっている。雑草による圃場の汚染程度は土壌中の種子数を計測することで正確に把握することができ,その効率化,高精度化が求められているが,アマランサス属雑草は種子が小さくて形状も比較的単純で,属内種間の相違も微妙で,肉眼による同定は困難である。 そこで第一に,上述のシステムによりアマランサス属雑草種子の3次元画像合成を試み,短時間で半自動的にそれを実現できることがわかった。ただし,本属雑草の種子表面は黒くなめらかで,照明を反射しやすく,そのような条件では3次元画像が大きく乱れる事象が認められた。このため,多数のLED照明を用いて,様々な強度,角度で試行錯誤的に照明した上で画像を合成し,適切な条件を探索した。さらに,種子表面に少量のタルク粉末を付着させることで,光の反射が抑えられ,画像の乱れを低減できることがわかった。 一方,分析に供する種子サンプルとして,北海道産の10種・系統,北東北産の10種・系統,南東北産の10種・系統,関東産の5種系統,九州産の2種・系統を採取し,保存した。来年度以降の分析では,これらのサンプルを活用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者および研究分担者は,平成23年夏以降,東京電力福島第一原子力発電所の事故にともなって生じた広範な農地の放射能汚染対策を緊急に実施する必要が生じ,年度末まで,本研究にさけるエフォートが極端に低下した。 一方,本研究の遂行の前提となる3D観察システムの購入には400万円弱の資金が必要と見込まれたが,8月に受領した300万円では資金が不足し,10月分の受領を待ってシステムの入札を実施することとした。この間,目的に叶うシステム構築のための機材等の選定を進めたが,結果として納品が完了したのは2月下旬で,実質的に分析を行えたのは1か月に過ぎなかった。 以上が,今年度,研究目的の達成がやや遅れた理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
種子表面の照明の反射による3D画像の乱れはまだ改善の余地があるため,照明および種子表面に付着させる資材の工夫を継続実施し,さらに安定した画像取得を目指す。 その上で,種子表面の様々な箇所間の距離や角度を測定し,種間比較を行うことで,今年度,達成が出来なかった同定が確実に行える種子表面の微細な形質(形状特徴量)の解明を目指す。 さらに、種子の3次元形状データ、具体的には多点のベクトル値を直接入力することで、混在する可能性のある多種を同時に判別・同定するニューラルネットワークモデルを試作し、上述の単一または少数の形状特徴量の比較による場合と精度および作業能率を比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
種子表面の形状のデータ解析のため,画像解析用コンピュータソフトを購入する。 さらに,これまでに得られている同定が確実な種子から植物体を育成し,種子を増殖するのに必要な肥料農薬を購入するとともに,土壌中から種子を抽出するのに必要なプラスチック容器等を購入する。 次年度使用額30,500円は、今年度研究の進捗がやや遅れたために生じた残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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