2012 Fiscal Year Research-status Report
都市緑地におけるストレス緩和を目的としたナイトランドスケープの提案と効果検証
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23580033
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩崎 寛 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (70316040)
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Keywords | ストレス / 緑化 / 都市緑地 / ナイトランドスケープ / 河川 |
Research Abstract |
1.ナイトランドスケープの生理・心理的効果:昨年度は商業施設の屋上における夜間の緑地利用における生理・心理的効果を計測したが、本年度は申請時の計画通り、都市緑地での実験を行った。緑地のタイプを人工、半自然、自然の3種類に分け、それぞれにおける印象評価を調べた。その結果、自然であることが必ずしも良い印象に結びつくわけでは無いことが明らかとなった。適度に人工的に作られた方が安心感や興味が大きくなることがわかった。これらの結果を踏まえて、次年度は都市緑地の夜間利用時の心理に影響を与えると考えられる要素として、緑地サイズやアクセス、ファニチャーや樹木の位置などを取り上げ、それらが及ぼす効果について検討することを計画している。 2.ナイトランドスケープのモニタリング調査:昨年、予備実験を行った韓国の清渓川(チョンゲチョン)において、ソウル大学の大学生40名を対象に昼間と夜間の休憩時における生理・心理的効果を計測した。生理としては唾液アミラーゼ濃度の計測、心理としてはPOMSとSD法、さらに補足としてアンケート調査を実施した。その結果、同じ都市緑地であっても夜間と昼間では印象が異なること、また照明の効果により、不安や安全といった心理面に大きな影響をあたえること、また照明があれば、夜間の緑地でも、男女問わず心地よいと感じることなどが明らかになった。 3.成果のアウトプット:現在、これらの結果を経済価値と結びつけて考察することを検討しており、本年度はその準備として、民間企業やソウル大との連携を行い、研究手法の打ち合わせをおこなった。これらをまとめた結果は、次年度に関係学会で講評する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
夜間の調査であること、また屋外での調査であることから、気候に左右されやすく、実験が予定通りに進まないことも多々あった。また、ヒトを対象とする実験であることから、被験者を集めること、また夜間まで拘束することなど、実験における条件が多く、全ての調査が当初の予定通りに進んだとは言えない。 また、研究結果の評価手法を、より深めるために経済的な効果を検証することを加えたため、これまでの研究成果と合わせた内容については学会等に公表することが出来たが、経済効果まで加えた結果を学会等に公表することができなかったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の予定通り、3年目の最終年度であることから、2年目までに実施した研究内容の整理と、その結果から、新しい夜間の緑地利用に関する「ナイトランドスケープ」を提案する。 また、結果の整理、ナイトランドスケープの提案時に不足している調査項目や実験が確認された場合は、追加で調査、実験を行うこととする。 さらに、本研究成果は日本国内の関連学会等で発表すると共に、研究対象地の一つである韓国においても、関連する国際学会などで、その結果を報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的に当初の予定通りとするが、2年間の支出状況から、消耗品を当初の予定よりも少し増加し、その増額分は謝金から減らすこととする。
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Research Products
(5 results)