2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 和弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (60242161)
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Keywords | 景観形成・保全 / 生物多様性 / 鳥類 / 緑道 / 都市 / 植生構造 |
Research Abstract |
東京とその近県にある全長5~10kmの緑道10本と、東京西郊から都心に向けて流下する玉川上水にそって延びる約40kmの緑道を対象として、緑道の属性、特に植生構造と、緑道周辺の都市化の程度が、緑道内の生物、特に鳥類の種組成とどう関係するかを明らかにし、生物に利用されやすい緑道のあり方を提示することを目指した。 玉川上水沿いの緑道を約1kmごとの41ブロックに区切り、鳥類と植生構造などを調査した。鳥類種組成は除歪対応分析(DCA)により分析した。鳥類は都心に向かうほど種数が単調に減少した、特に都市忌避種の種数の減少が顕著であった。個体数については、都市利用種、特にドバトが都心に近いいくつかのブロックで多数記録されたため、明確な傾向は見られなかった。鳥類種組成の場所による違いは出現種の都市化への耐性の程度で説明できるものと考えられた。但し、緑道周辺の都市化の状況を考慮しなくても、緑道とその隣接部における植生構造(特に緑道内と隣接部の上層植被率)からDCA第1軸スコアの変動の半分弱が説明できることが示され、緑道の植生が都心に向かうに従って貧弱になっていることも、鳥類相に相当程度影響していることが強く示唆された。 東京都、埼玉県、神奈川県の10本の緑道については、各緑道を約500mのブロックに分割し、同様の調査・分析を行った。その結果、鳥類種組成の場所による違いは、同じく出現種の都市化への耐性の程度で説明できるものと考えられ、緑道内部の上層植被率と、周辺の森林率が高い場合に都市化に脆弱な種の出現が多くなることが示された。DCA第2軸は農耕地や下層植生を好む種の多寡に対応しており、緑道内部と隣接部の下層植生が豊かだと、これらの種の出現が多くなることが示された。 以上から、緑道内部と隣接部の植生が上層、下層それぞれ発達していることが、緑道の鳥類相の発達につながっていると判断できる。
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Research Products
(1 results)