2012 Fiscal Year Research-status Report
花き園芸植物における形質転換体を育種親に用いた新品種育成システムの構築
Project/Area Number |
23580037
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中野 優 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00262460)
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Keywords | 花き園芸植物 / 形質転換体 / 遠縁種間交雑 / 胚救出 / ソマクローナル変異 |
Research Abstract |
ホトトギス類を材料に用いて,主に以下の3点について検討を行った.(1) 種間雑種作出の効率化:前年度からの継続である.非形質転換体を材料に用いて,交雑受粉後の胚珠培養の開始時期や培地組成等について条件設定を行った.その結果,胚珠培養を開始する時期としては受粉後2~3週間後が,また,外植体の種類については胎座付き胚珠が適していることが明らかとなった.なお,培地組成については,明確な結果が得られなかった.(2) 形質転換体を用いた遠縁種間雑種の作出:前年度からの継続である.ジベレリン代謝経路関連遺伝子が導入された形質転換体と非形質転換体との種間交雑により,複数の交雑組み合わせで胚珠培養由来個体を得た.フローサイトメトリー分析およびRAPD分析により,これらの個体が雑種であることを確認し,また,PCR分析により,これらの雑種が外来遺伝子を含むことも確認した.これらの雑種については,グロースチェンバー内で栽培しており,開花をまって形質調査を行う予定である.また,次年度以降にも,新たな組み合わせでの種間交雑を検討する予定である.(3) 形質転換体における植物体再生可能な培養物の誘導,植物体再生および突然変異処理:前年度からの継続である.形質転換体におけるソマクローナル変異誘導のために,再分化能力をもったカルス培養物およびシュート培養物を誘導した.現在,これらの培養物からの再生個体をグロースチェンバー内で栽培しており,開花をまって形質調査を行う予定である.また,植物体再生可能な培養物について,紡錘糸形成阻害剤等を用いた突然変異処理を行っている.次年度以降にも検討を継続する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた検討項目のうち,(1) 形質転換体の調査,(2) 種間雑種作出の効率化,(3) 胚珠培養由来個体の雑種性の確認,(4) 形質転換体を用いた遠縁種間雑種の作出,(5) 形質転換体における植物体再生可能な培養物の誘導,(6) 形質転換体における植物体再生可能な培養物からの植物体再生,(7) 形質転換体における植物体再生可能な培養物の突然変異処理および植物体再生,については,おおむね順調に進展している.なお,(4) については,複数の交雑組み合わせにおいて外来遺伝子を含む種間雑種の作出に成功したことから,形質転換体を親に用いた種間交雑育種の可能性が高まったと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った検討項目のうち,形質転換体を用いた遠縁種間雑種の作出,形質転換体における植物体再生可能な培養物の誘導,形質転換体における植物体再生可能な培養物からの植物体再生,形質転換体における植物体再生可能な培養物の突然変異処理および植物体再生,について今後も検討を継続する.特に,外来遺伝子を含む種間雑種個体,形質転換体の培養物からの再生個体,および突然変異処理した培養物からの再生個体の形質調査を重点的に行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,平成24年度には,学会参加のための旅費を計上していたが,その旅費には別の予算を充てたため,若干の直接経費を次年度に繰り越すこととなった.次年度以降には,請求する研究費と合わせて,おもに物品費として使用し,消耗品を購入する予定である.
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