2011 Fiscal Year Research-status Report
甘果オウトウの花器官形成遺伝子の単離とその多雌ずい形成への関与の解明
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23580041
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
別府 賢治 香川大学, 農学部, 教授 (30281174)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 花器官形成遺伝子 / 多雌ずい形成 / 甘果オウトウ |
Research Abstract |
甘果オウトウの多雌ずい形成に関与していると推測される花器官形成遺伝子について、まず単離を試みた。雄ずいや雌ずいの原基が形成されている時期の花芽を採取し、鱗片を剥皮した後、RNAを抽出した。雄ずいや雌ずいの分化に関わるクラスB遺伝子(PISTILLATA (PI)遺伝子とAPETALA3 (AP3)遺伝子)、クラスC遺伝子(AGAMOUS (AG)遺伝子)、クラスD遺伝子( SEEDSTICK (STK)遺伝子)について、同じバラ科植物のリンゴやバラ、モモのクラスB,C,D遺伝子に特徴的な配列をもとにジェネレートプライマーを作成した。前述のRNAを鋳型として、このプライマーによりRT-PCRを行い増幅産物TAクローニングし、塩基配列を決定した。この配列をもとに、3’-RACE、5’-RACE用のプライマーを作成し、3’-RACE法と5’-RACE法により全長の塩基配列を決定した。得られたオウトウのクラスB(PaTM6、PaPI)、C(PaAg、PaSHP)、D(PaSTK)遺伝子は、いずれもそれぞれのファミリーに特異的な配列を有していた。 得られた塩基配列をもとに各遺伝子に特異的プライマーを作成し、開花時に花の各部位から抽出したRNAのRT-PCR分析を行った。PaTM6、PaPI遺伝子が花弁と雄ずいでのみ、PaAg、PaSHP遺伝子が雄ずいと雌ずいでのみ、PaSTK遺伝子が雌ずいでのみ発現していたことから、得られた遺伝子がそれぞれ目的の遺伝子である可能性が示唆された。 得られた成果は、今後の多雌ずい形成へのクラスB,C,D遺伝子を関わりを研究するための基礎データとして非常に有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジェネレートプライマーをいろいろなものを試しながら進めた結果、クローニングが成功し、実験がおおむね順調に進展した。しかしながら、研究費を2/3までしか使えない状況が長く続いたため、一部分析ができなかったものもあった。
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Strategy for Future Research Activity |
単離した遺伝子の多雌ずい形成への関与を明らかにするために、温度処理、植物ホルモン処理を行って多雌ずい発生頻度の異なる条件を生み出し、クラスB,C,D遺伝子の発現量を比較することで、多雌ずい形成へのこれら遺伝子の関与を探る。多雌ずい化発生頻度の異なる品種間でもこれらの遺伝子の発現量を比較し、多雌ずい形成への関与を探る。また、多雌ずい形成の発生しない品種について、これらの遺伝子を解析し、多発生品種との相違を調べる。特に、上流の発現調節領域の遺伝子も解析して、相違が見つかれば、その塩基配列の違いをもとに、分子マーカーの作出を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、予定額の2/3しか使用できない状況が長く続いたため、予定していた分析を一部行うことができなかったことから、次年度にその分析を継続して行うことにも研究費を使用する。 次年度は、単離した遺伝子の発現量をリアルタイムPCRで分析する研究が中心となることから、これに必要な試薬、物品等に研究費を主に使用する。また、実験植物の維持管理や各処理に必要なものについても研究費を使用する。さらに情報収集や成果の発表の旅費も必要となる。
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Research Products
(2 results)