2013 Fiscal Year Annual Research Report
甘果オウトウの花器官形成遺伝子の単離とその多雌ずい形成への関与の解明
Project/Area Number |
23580041
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
別府 賢治 香川大学, 農学部, 教授 (30281174)
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Keywords | 甘果オウトウ / 多雌ずい形成 / 花器官形成遺伝子 / 高温 / 双子果 |
Research Abstract |
最終年度には、再度、甘果オウトウの花器官形成遺伝子{クラスB遺伝子(PaPIとPaTM6)、クラスC遺伝子(PaAGとPaSHP)}について、人工気象室による異なる温度条件下における発現量を比較した。‘佐藤錦’では、高温によりPaPIとPaSHP遺伝子は減少、PaTM6とPaAG遺伝子は増加する傾向が認められた。‘紅秀峰’では、いずれの遺伝子も高温により減少した。いずれの品種も高温により多雌ずい花発生率は増加した。次に、露地栽培において品種間で花器官形成遺伝子の発現量と多雌ずい花発生頻度を比較したところ、クラスB,C遺伝子ともに‘佐藤錦’で‘高砂’や‘ナポレオン’よりも発現量が大きかった。多雌ずい花発生率は、ナポレオン’で ‘佐藤錦’や‘高砂’よりも高く、多雌ずい花発生率と花器官形成遺伝子の発現量に品種間での一定の傾向は認められなかった。他に、花芽の発育段階による花器官形成遺伝子の発現量を調べたところ、分化初期の6月下旬にはいずれの発現量も少なく、がく片分化期の7月上旬にはクラスB遺伝子が急増し、花弁分花期の7月下旬にはクラスC遺伝子も急増していた。一方、クラスD遺伝子(PaSTK)について、開花前にジベレリン(GA)処理を行ったところ、PaSTK遺伝子の発現量は著しく減少し、退化した胚珠の割合が増加したことから、GAによる胚珠の早期退化にクラスD遺伝子が関与している可能性が示唆された。 研究期間全体を通じて、甘果オウトウの花器官形成遺伝子(クラスB,C,D遺伝子)を単離するとともに、異なる温度や品種間での発現量と多雌ずい形成、胚珠発育との関係を調査した。全てに一貫した傾向は得られなかったものの、多雌ずい形成にはクラスB,C遺伝子が関与している可能性が示された。一方、胚珠の発育にはクラスD遺伝子の関与が示唆された。
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Research Products
(3 results)