2013 Fiscal Year Annual Research Report
短時間温度処理による青果物の品質保持効果と抗酸化機構活性化に関する研究
Project/Area Number |
23580048
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
今堀 義洋 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (40254437)
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Keywords | アスコルビン酸―グルタチオンサイクル / ウメ果実 / 過酸化水素 / 抗酸化能 / 短時間高温処理 / 低温障害 / マロンジアルデヒド |
Research Abstract |
ウメ果実をを45,50および55℃の温水にそれぞれ0.5,5,7および10分間浸漬し,直ちに20℃の流水で冷却した後,果実の水気を除去した.果実組織の水浸状障害発生の有無を観察した.さらに,処理果実を有孔ポリエチレン袋(厚さ0.03mm,孔8個)に3個ずつ入れ,6℃暗所で1週間貯蔵後,外観観察および過酸化物量を測定した.45℃処理では処理開始5分まで,50℃では0.5分まで障害が発生しなかったが, 55℃で障害がすべての処理時間で見られた.マロンジアルデヒド(MDA)量は,50℃0.5分間処理が無処理と同程度であったが,45℃5分間処理はそれらの2/3程度であったので,短時間高温処理は45℃5分間とした.ウメ果実を45℃5分間温湯処理した後,有孔ポリエチレン袋(厚さ0.03mm,孔8個)に15個ずつ入れ,6℃暗所で4週間貯蔵した.対照区に無処理果実を貯蔵した.低温障害発生程度は外観観察し,ピッティングの大きさと数から,1=発生なしから5=中規模ピッティングの複数と褐変発生の5段階で評価した.無処理区は経時的に低温障害が進展し,貯蔵3週には発生程度5に達したのに対して,処理区は障害発生が軽減されて、発生程度は3であった.アスコルビン酸(AsA)量はいずれも2週まで減少し,その後維持したが,処理区が高レベルを維持した.貯蔵中の抗酸化能の傾向はAsA量と同様であった.MDA量は両区とも増加したが,処理区ではその程度は小さかった.過酸化水素量もMDA量と同様の傾向であった.アスコルビン酸ペルオキシダーゼ活性は両区とも減少したが,処理区は無処理区よりも傾向が緩やかであった.カタラーゼ活性は両区とも貯蔵3週まで変化がなかったが,貯蔵4週で処理区が高くなった.酸化型アスコルビン酸還元酵素活性は処理区で高かった.短時間高温処理はウメ果実の抗酸化機構を高めて,低温障害を防ぎ,品質を保持した.
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