2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580051
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大澤 啓志 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20369135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶺田 拓也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (70360386)
大久保 悟 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30334329)
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Keywords | 半自然草地 / 水田 / 生物多様性 / 農村景観 |
Research Abstract |
小さくとも農村域に普遍的に存在する水田周りの半自然草地に着目し、その生物多様性の保全・修復・創出を図るための手法開発を行った。 まず、万葉集及び平安期の勅撰和歌集より緑化や植生管理に関わる行為が詠まれた歌を抽出し、対象植物や行為内容について整理した。その結果、植栽として植える・蒔く・刺す(挿す)が、植生管理として刈る・伐る・抜く・炊く・焼く・切るが認められた。特に奈良時代には植物との多様な関わりが存在していたが、以降の時代では特に植栽の行為に対して数や種類が少なくなっていた。 次に、半自然草地における草刈り等の管理維持のインセンティブの確保という課題に対し、伝統的な植物資源利用が地域固有の農村景観や半自然草地の維持・保全に寄与する可能性について、関東北東部の漆掻き職人の営みを事例に、1漆掻き林の分布実態、2立地特性および管理状況、3林床植生の実態を明らかにした。その結果、土手におけるウルシ管理林においてススキクラスの種の豊富さおよび常在度の高さが特筆された。ウルシという経済性のある植物を水田周囲の余白地に粗放的に栽培することで、定期的な林床の草刈り(年3回程度)により良質な半自然草地が維持されてきたと考えられる。一方で、ここ四半世紀の間に、漆掻き林の存在形態が変わりつつある現状も示された。 また、畦畔植生の修復を目的に、既存の圃場基盤整備畦畔に他の畦畔表土を移植する手法を検討した。畦畔表土を30 cm四方の表土ブロックを深さ5 cmおよび10 cmあるいはマット状および撹拌して移植する条件区を設定し、その後の発芽・出芽状況を記録した。種数には大きな差は認められず、全体に帰化率も低かった。生活型による優占度では、マット区の方が撹拌区よりも在来種多年草の割合が高くなった。ただし、種組成的には類似していた。また、採取表土の深さによる差はほとんど認められなかった。
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Research Products
(4 results)