2012 Fiscal Year Research-status Report
果実軟化機構の分子構造基盤研究:トマト果実をモデルとして
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23580054
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
石丸 恵 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90326281)
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Keywords | 果実軟化 / 細胞壁 / 細胞壁分解酵素 / 基質特異性 / 構造解析 |
Research Abstract |
平成24年度は,TBGファミリーについて発現系を順次構築し,組換え酵素タンパク質の産生,酵素特性・基質特異性の検討,および結晶化,構造解析を行うことを目的とした. 平成23年度に遅れていたTBG4の構造解析が終了し,植物で初めてβ-ガラクトシダーゼの構造を明らかにした(未発表).β-ガラクトシダーゼは,GHファミリーの中で,GH1,GH2,GH35およびGH42に属し,(α/β)バレル構造をとるとされており,今回トマトから得られたβ-ガラクトシダーゼの構造も同様に(α/β)バレル構造をとっていた.しかしながら,活性中心であるカタリティックドメイン以外は他のGHファミリーのアミノ酸配列と相同性が低く,位相決定が困難であった.今回の解析により,これまでの解析データの蓄積を利用し,TBGファミリーの構造解析を行うことができるようになった. また,TBG1については,酵素特性および基質特異性を明らかにし,β-1,3およびβ-1,6結合を特異的に認識し,開花後10日および20日の幼若な果実の細胞壁成分(アルカリ可溶ペクチン)に作用することを明らかにした. TBG3およびその他のTBGファミリーについては,組換え酵素タンパクの活性が低いことからまだTBG3の酵素特性が解析できていない.次年度も引き続き行う予定である.TBG1およびTBG5については,大量培養および精製を行っており,次年度中には構造解析が完了できる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トマト果実の成熟過程における果実軟化に重要な役割を担っていると考えられるTBG4の結晶構造を明らかにできたことで,今後TBGファミリーの構造解析が進められると期待できる.また,酵素特性や基質特異性についても構造を基に変異体の作成などを行っており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度に得られたTBG4の構造を基に,引き続きTBG1,TBG3およびTBG5の構造解析を進める.昨年度から糖加水分解酵素の構造解析に実績のある五十嵐氏(東大)と金子氏(食総研)から研究協力を得ており,引き続き解析に協力を依頼した.また,基質に関して,植物細胞壁の糖鎖構造に実績のある小竹氏(埼玉大学),阪本氏(大阪府大)の協力を引き続き得られることになっており,最終年度の目標を達成できる実施体制を構築できつつある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,昨年度研究に使用した微量高速遠心分離機の故障が多発したため,機器の購入を考えている. また,これまでの成果を論文や学会発表する目的で,海外の細胞壁関連の研究者と連携を進めるため海外渡航費を計上したい.
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