2013 Fiscal Year Annual Research Report
果実軟化機構の分子構造基盤研究:トマト果実をモデルとして
Project/Area Number |
23580054
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
石丸 恵 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90326281)
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Keywords | 果実軟化 / 細胞壁 / トマト果実 / β-ガラクトシダーゼ |
Research Abstract |
本研究課題は,トマト果実をモデルとして,成熟過程における果実軟化に深く関与するβ-ガラクトシダーゼファミリーの役割について,X線結晶構造解析によって酵素特性および基質認識機構を明らかにする目的で行った. トマトβ-ガラクトシダーゼ(TBG)4のX線結晶構造解析の結果,TBG4は4つのドメインからなる分子量約80kDaのタンパク質であり,第一ドメインは,TIMバレル構造をしたGH35ファミリーの触媒ドメインであった.第二ドメインは,β-サンドイッチ構造をしており,第一ドメインを安定化させる役割があると考えられる.第三ドメインは長いループを有するβ-サンドイッチ構造であり,この長いループは植物由来β-ガラクトシダーゼに特有であり,基質結合部に近いことから基質の結合に関与していると考えられる.第四ドメインは,同じく長いループを有するβ-サンドイッチ構造をしており,このドメインの長いループはGH35に属する酵素によく保存されており,酵素活性に重要な役割を果たしていると考えられる. TBG1の酵素特性は,β-(1,3)結合とβ-(1,6)結合を認識し,β-(1,4)結合はほとんど認識にしないことを明らかにした.また,最適pHは5.0であり,最適音素は40-50℃であった.TBG3は発現した酵素活性が低く,酵素特性および基質特異性を明らかにするまでには至らなかった. 以上の結果から,本研究課題の目標はほぼ遂行できた.今後はTBG4の立体構造をモデルとしてTBGファミリーの構造を明らかにし,トマト果実の成熟過程におけるβ-ガラクトシダーゼの役割を明らかにしていく.
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