2012 Fiscal Year Research-status Report
アレル解析に基づく育種効果の遺伝統計学的検証基盤の開発
Project/Area Number |
23580055
|
Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
藤井 浩 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所カンキツ研究領域, 主任研究員 (00355398)
|
Keywords | カンキツ / SNP / 多型 / ゲノム / アレル |
Research Abstract |
わが国のカンキツ育成品種の殆どは,14の祖先品種(グレープフルーツ,ダンシータンジェリン,クレメンティン,無核紀州,谷川ブンタン,八朔,日向夏,オレンジ,伊予柑,温州ミカン,ポンカン,地中海マンダリン,キングマンダリン)及びその後代との交配から育成されている。したがって,わが国の殆どの育成品種は,14祖先品種品種に由来する28アレルのいずれかを遺伝子として保有している。 そこで,平成23年度は,14祖先品種のカロテノイド代謝系を構成する8つのカロテノイド代謝酵素遺伝子とこれを制御する2つの転写因子領域のゲノムDNAを濃縮し,次世代シーケンサーによって解読することに成功した。 平成24年度は,バイオインフォマティクス技術により,次世代シーケンサーによって解読した断片塩基配列をゲノム濃縮の際に使用したプローブ塩基配列(カロテノイド代謝酵素遺伝子及び転写因子遺伝子のゲノム領域に由来する)にマッピングした。解読対象のDNAには,事前に品種を区分するタグを付加されていたので,品種ごとにマッピング結果を得ることができた。そして,14祖先品種ごとに,かつ,遺伝子ごとにマッピング結果を整理した。マッピングされた塩基配列を14祖先品種間で比較し,一塩基多型(SNP)を中心とする品種間多型を整理して,データベース化した。現在,14品種に由来する28アレルを判別可能なSNPをハプロタイプとして探索している。 また,PCRとゲル電気泳動によって,SNPタイピングを行う簡易な方法をほぼ確立した。今後,アレルのタイピングに,この簡易なSNPタイピング法を利用する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的は,(1)カロテノイド代謝酵素遺伝子及び関連する転写因子遺伝子の品種間のSNPを整理し,(2)28アレルを判別可能なSNPを判別の探索を進める。(3)14祖先品種に由来する57品種・系統が祖先品種のいずれのアレルをとっているかを判定する,としていた。 (1)についてはすでに達成しており,(2)についても現在進行中であることから,研究目的の達成度については,おおむね順調に進展していると判断した。(3)については,ダイレクトシーケンスにより判定を行うことを計画していたが,PCRとゲル電気泳動によってSNPタイピングを行うより簡易な手法をほぼ確立した。今後,アレルのタイピングに,この簡易なSNPタイピング法を利用する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
祖先14品種に由来する28アレルを決定するSNPハプロタイプを各カロテノイド代謝酵素遺伝子及び転写因子遺伝子で決定し,祖先14品種の後代の57品種・系統について,簡易なSNPタイピング手法を用いて,28アレルのいずれをとっているのかを検証する,
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
カンキツの57品種・系統について,14祖先品種に由来するいずれのアレルをとっているかタイピングするために,PCRとゲル電気泳動を用いた簡易なSNPタイピングを行う予定である。このための研究費が必要である。 平成24年度に残額が22849円発生した。これは,平成24年度に必要とした試薬を購入した際の試薬のカタログ価格よりも,納品価格が低額だったためである。残額については,上記に記した平成25年度の研究内容に使用する。
|