2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハクサイ根こぶ病抵抗性遺伝子群の特性の解明とレース判定系統の作出
Project/Area Number |
23580057
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
松元 哲 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜茶業研究所 野菜育種・ゲノム研究領域, 上席研究員 (00355629)
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Keywords | 根こぶ病 / DNAマーカー / ハクサイ |
Research Abstract |
Brassica rapa(ハクサイ類)の根こぶ病抵抗性遺伝子の中で、CRk、Crr3、CRbは抵抗性を発揮するレースの種類は異なるものの、同じ連鎖群(A03)上に位置している。CRkとCrr3に連鎖する既存のマーカー、HC688とBrSTS78の塩基配列のハクサイゲノム上の位置をゲノムデータベースを用いて解析したところ、これらのマーカー間は約714kbと推定された。この間にSSR配列を検索し8個の共優性と9個の優性の計17マーカーを開発し、さらにこの2つの抵抗性遺伝子の位置関係を詳細に調べた。 80個体からなるCrr3分離集団を用いて、根こぶ病菌Ano-01に接種し、個々の発病程度から抵抗性遺伝子の有無を明らかにするとともに、既存のCrr3マーカーであるBrSTS78、BrSTS61、OPC11-2S、BrSTS33に加えて、新たに開発した17個のCRk連鎖マーカー遺伝子型をすべて決定し抵抗性とマーカー遺伝子型との関係を明らかにした。その結果、抵抗性と罹病性個体数はそれぞれ62と18でほぼ3:1に分離し、一つの遺伝子座で制御されている可能性が高いことをあらためて確認した。マーカー遺伝子型と抵抗性遺伝子の比較では、Crr3マーカーの中では末端に位置するOPC11-2SとBrSTS33において、マーカー遺伝子型と表現型の間で異同がある個体が見出された。この個体はマーカーとCrr3とで組換えが生じたものであると考えられた。そのため、Crr3はOPC11-2SよりもCRkに近いBrSTS78、BrSTS61側に位置することが明らかになった。さらに今回新たに開発したCRkのマーカー17個の中で、最も末端に位置するマーカーとCrr3と一部に組換え個体が見出されたが、ほとんどの個体でマーカー遺伝子型と表現型が一致した。これらの結果からもCRkとCrr3は近い位置に座乗することを確かめられた。今後、マーカー選抜育種やNILを作出する上でも多くのマーカー情報が活用できることを示すことにつながると考えられた。
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