2012 Fiscal Year Research-status Report
生物防除微生物による単子葉作物の病害抵抗性誘導機構
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23580059
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| Research Institution | Yamagata University |
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Principal Investigator |
長谷 修 山形大学, 農学部, 准教授 (10261497)
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| Keywords | 誘導抵抗性 / 生物防除 / 植物病害 |
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| Research Abstract |
平成２４年度は、２３年度に実施した種子伝染性のイネ籾枯細菌病菌による苗腐敗症の発病抑制効果とジャスモン酸を介した抵抗性誘導の発現機構に関する実験結果を基に投稿していた論文にデータの補足等を加えて論文をまとめた。
また、以前実施していた双子葉植物におけるPOを介した抵抗性誘導に関するデータについても、単子葉植物における抵抗性誘導機構の知見をふまえて論議することで論文をまとめるに至った。
さらに、平成２４年度に実施した課題「PO処理イネにおける防御関連遺伝子の発現変動解析」については、種子伝染性病害の防除を見据えて、イネ品種‘はえぬき’の催芽種子にPOの細胞壁タンパク質エリシター（CWP）やメチルジャスモン酸を浸漬処理し、半定量的RT-PCRによる防御関連遺伝子の発現解析を行った。その結果、防御遺伝子のOsPR10a/PBZ1、OsPR10b並びにOsPR6は、CWPやMeJA処理により発現量が増加した。また。ジャーミン様タンパク質遺伝子群のGLP8-7とGLP8-11およびペルオキシダーゼをコードするPrx15もCWPとMeJA処理で発現量の増加が認められた。よって、CWPは種子の催芽時からJAの情報伝達系を介した防御反応を活性化すると共に、種子伝染性の細菌病を抑制できる可能性を見出すことができた。この成果は学会で発表した。
設定課題「POを処理したイネ重要病害の病原に対する抵抗性誘導の検討」については、イネいもち病に対する検討を行なったが、PO単独では抵抗性誘導能が低いことがわかってきた。一方、ケイ酸を施用したイネによるいもち病の抑制効果に対してジャスモン酸で誘導される防御遺伝子（OsPR6）の発現が病原菌の接種後に急速に増加する反応を示した。これらの結果から、POとケイ酸の施用で共通して誘導されるJA誘導性の防御反応の関連性について解析する必要性があることを見出した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題「PO処理イネにおける防御関連遺伝子の発現変動解析」については、
研究実績の概要に記した通り，種子伝染性の病害に対する抵抗性誘導との関わりについて関連性を見出すことができたので概ね順調に伸展していると判断した。
課題「POを処理したイネ重要病害の病原に対する抵抗性誘導の検討」はいもち病に対する検討を行なったが、PO単独処理による高い抵抗性誘導能を得るには至っていない。よって、この課題の達成度はやや遅れていると自己評価した。但し、ケイ酸の施用で誘導される防御反応がJA誘導性である点でPOによる防御反応と共通する点があることが考えられることから、下記の網羅的な遺伝子発現解析の結果を踏まえて、抵抗性誘導能を高める条件検討を実施できるのではないかと考えている。
課題「PO処理イネにおける網羅的な遺伝子発現解析」については、ケイ酸施用の実験結果を踏まえて、ケイ酸とPOを施用したイネの病原体接種後の発現変動を解析することとし、発病が安定して抑制された試料の採取と調整を行なった。25年度には解析が進められるめどが立ったので、概ね順調に進展していると判断している。
以上から、総合的には概ね順調に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
ケイ酸とPOを施用したイネの病原体接種後の発現変動を解析するための試料調整は行なったので、イネのマイクロアレイ解析を実施する。本解析は、イネの抵抗性誘導発現においてジャスモン酸の情報伝達系の関与と、病原体接種後の防御反応の特徴を明らかにすることを重点的に行なっていく。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロアレイ解析に係る受託解析費（その他の品目）と解析結果を検証するための遺伝子発現解析に係る消耗品（物品費）、ならびに成果発表に係る旅費と投稿費に研究費を割り当てる。
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Research Products
(3 results)
