2011 Fiscal Year Research-status Report
植物の病害抵抗性を制御する新規MAPKカスケードの確立と防除技術への応用
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23580060
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西内 巧 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (20334790)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | MAPK / タンパク質リン酸化 / 病害抵抗性 / 植物病原糸状菌 / カビ毒 / トリコテセン / リン酸化プロテオーム |
Research Abstract |
赤かび病菌に対する植物の抵抗性に関わる新規のシグナル伝達因子として、MAPKカスケードの最上流に位置するMAPKKKであるシロイヌナズナのMKD1を見出した。本研究は、MKD1カスケードにおけるMAPKKやMAPK、標的リン酸化タンパク質の機能を明らかにし、病原糸状菌の抵抗性に関わる植物の新たなシグナル伝達経路を確立することを目的とする。生化学的な解析結果から、MKD1(MAPKKK)→MKK1/5(MAPKK)→MPK3/6というMKD1カスケードが推定されている。MKD1の下流のMAPKKやMAPKにおける赤かび病抵抗性への関与についての解析するため、MKK1、MPK3、MPK6のT-DNA挿入ホモ変異体及びMKK5のRNAiによる発現抑制株を用いて、赤かび病抵抗性について調べたところ、mkk1変異体とRNAi:MKK5形質転換体では、mkd1変異体と同様に野生型に比べて抵抗性が低下していた。一方、mpk3とmpk6変異体については、野生型と比べて顕著な変化は見られなかったことから、MPK3とMPK6との機能重複、あるいは他のMAPKの関与が示唆された。一方、MKD1カスケードを構成するタンパク質間の細胞内相互作用の解析するため、BiFC法を用いて調べたところ、MKD1とMKK1及びMKK5がシロイヌナズナの細胞質において、相互作用することが明らかとなった。これらの結果から、MKD1(MAPKKK)→MKK1/5(MAPKK)カスケードは、in vivoにおいても機能していることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画で予定していた2つの主要な実験について、実験を全て完了しており、目的を達成していることから、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると判断した。具体的な進展状況を次にあげる。1.遺伝学によるMKD1カスケードのMAPKK及びMAPKの機能解析:推定されたMAPKK及びMAPKの全てについて、赤かび病抵抗性における機能を明らかにした。2. 蛍光タンパク質再構築(BiFC)法によるMKD1カスケードのキナーゼ間の細胞内相互作用解析:必要な形質転換体を全て作製し、さらに交配した株について、蛍光観察を行い、MKD1と下流のMAPKKであるMKK1とMKK5が、細胞質において相互作用することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、研究計画の通りに下記の主要な2つの実験を進めていきたい。「リン酸化プロテオーム解析によるMKD1カスケードの標的タンパク質の同定」「活性型変異を導入したMKD1タンパク質の過剰発現による赤かび病抵抗性植物の作出」
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画は、順調に進展しており、予定された研究費の使用計画に基づいて、予算執行を行いたい。
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Research Products
(17 results)