2012 Fiscal Year Research-status Report
タマネギ乾腐病菌が生産するファイトトキシン様タンパク質
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23580063
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
伊藤 真一 山口大学, 農学部, 教授 (30243629)
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Keywords | Fusarium oxysporum / ハイドロフォビン |
Research Abstract |
1.NIP8の遺伝子ファミリー:NIP8遺伝子の塩基配列解析から、NIP8はII型ハイドロフォビンタンパク質のプロセシング産物であることが判明した。Fusarium oxysporumのデータベースでハイドロフォビンモチーフを有するタンパク質を検索したところ5つのタンパク質(hyd1、hyd3、hyd4、hyd5、hyd-like)が明らかになった。これらの5つの遺伝子は、いずれもFOCゲノムに単コピーで存在し、NIP8遺伝子はhyd4のホモログであった。また、hyd-like遺伝子は他の4遺伝子(hyd1、hyd3、hyd4、およびhyd5)とはサイズや塩基配列の特徴が大きく異なっていた。FOCを、窒素源、炭素源、およびを窒素源・炭素源欠乏培地で培養し、各ハイドロフォビン遺伝子の発現を調べたところ、hyd1およびhyd3は炭素源欠乏で発現が誘導され、窒素源・炭素源欠乏でさらに強く発現が誘導された。hyd4とhyd-likeは窒素源・炭素源欠乏で発現が強く誘導された。hyd5は、窒素源、炭素源に関係なく、常に発現していた。 2.ハイドロフォビン遺伝子の破壊:5つのhyd遺伝子それぞれのシングルノックアウト、ダブルノックアウト、およびトリプルノックアウト変異体を14種類作製した。いずれの変異体も、形態や生育特性については野生株と差異がみられなかった。現在、これらの変異体の病原性について調査している。 3.NIP8::GFP融合タンパク質を生産する株の作製:宿主体内でのNIP8タンパク質の存在形態を調べるためにNIP8::GFP融合タンパク質を生産する株を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組換えNIP8タンパク質の調製に手間どっており、抗NIP8タンパク質抗体が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1.各ノックアウト変異体の病原性:24年度に引き続き、各ノックアウト変異体のネギに対する接種試験を行い、病原性の変化を明らかにする。また、hyd1、hyd3、hyd4、およびhyd5のクアドラプル変異体を作製し、同様にして病原性の変化調べる。 2.宿主組織におけるNIP8遺伝子の発現:NIP8 cDNAの塩基配列をもとづいてリアルタイムRT-PCRプライマー設計し、FOCを接種したネギの組織(根、盤茎、葉鞘)におけるNIP8遺伝子の発現を経時的に解析する。また、NIP8::GFP融合タンパク質を生産する株を用いて、植物体内でのNIP8の発現および局在を明らかにする。 3.NIP8タンパク質と相互作用する宿主分子(標的分子):組換タンパク質でウサギを免疫することによって、抗NIP8抗体を得る。この抗体を用いて免疫沈降を行い、NIP8と相互作用する宿主タンパク質を特定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費(306,280円):NIP8タンパク質調製、抗体作製、およびNIP8タンパク質と相互作用する宿主分子の解明に必要な試薬および実験器具の購入に使用する。 【次年度使用額が生じた理由】 当初予定していた「抗NIP8抗体を用いた実験」に必要な組換えNIP8タンパク質が十分量えられず、実験を次年度に回したため。
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